伝統と象徴という美しき形
アンティークらしい綺麗な鹿が彫られた、ウォルサムの銀無垢懐中時計。
ケースのデザインにとても特徴のあるもので、モチーフとなるものを際立たせる、空白を活かした美しさを表現する手法が用いられたもの。
複数のゴールドで色付けをした葉や花が美しく鹿を囲い、時計の持つ象徴である鹿と盾を美しく浮かび上がらせている、ケースデザインの良いものです。
下から包み込むように、モチーフを囲む手法から感じられるのは、中央に飾られたものへの敬いの形。
古き時代ならではの、伝えられるべき見えない美しさが感じられるものだと言えるでしょう。
鹿や花、星や月など、アンティークには紋章や家紋に組み込まれるような、様々な模様が施されることがありますが、そこには作り手と所有者の思いが交差しています。
モチーフとなるそれぞれのものには、伝統的に伝えられてきたその象徴が持つ意味があり、物語的な背景であったり、そのものが持つ優雅さや裕福さなどが備わるように、そしてそれが伝わるようにと、そのもの自体が世代を超えて伝えられていくのがアンティークの楽しさです。
また文字盤の上品な金彩模様も美しく、短針・長針そして秒針と3つの豪華な針。
ケースに施されるデザインのように、このようなデザインが時計に組み込まれた時代だからこそ似合う、その時代ならではの美しさが光ります。
店主のワンポイントと評価
総合評価
アンティークらしい作りでとても味のある懐中時計です。
色の組み合わせという意味でも、他と少し違った個性と特徴があります。
色の違いという一見してお分かりいただける部分はもちろんですが、銀系・白色系そして金系・ローズ色という2系統がうまく組み合わせられていて、本来であればリューズ・時計を吊り下げる輪は銀時計であれば銀色系のものが合わせられますが、その部分の色も変えてあり、時計の色の組み合わせにより統一感を出しています。
またケースの彫りも手彫りならではのもので、線の強弱など人の手が掛けられた味わいが出ています。
状態
経年や使用による一般的なところはありますが、とても良い状態です。
希少性
大型でかつ銀無垢となると、極端にデザインの良いものが少なくなります。
色合いやデザインに凝ったもので、状態面も合わせると、年を追うごとに少なくなっていきます。
贈り物
アンティークならではの作りやデザインがよく出ているもので、アンティークならではの懐中時計。
贈り物としても見どころ多く、とてもお勧めできる1点です。
備考
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