雰囲気の良い銀時計
一概に懐中時計といっても、その年代によって形があり、1900年以降から主流になるリューズ巻きのものを一世代だとすると、それより前の時代の時計には、その時代ならではの作りの違いが見てとれます。
一見して同じような作りに見えても、よくみると細かなところで、手のかかる作りになっていたり。
そしてそれであるが故の、作りの味というのもそこに見えてくるわけです。
この懐中時計は、そんな一世代前という、より古い作りを楽しんでいただける銀時計。
ぜんまいを巻いたり、時刻を合わせる時に使われるリューズが無く、裏蓋を開けて、付属の専用の鍵のような形をしたねじ巻きで、操作をしていただくという作りのもの。
リューズが本来あるべき場所には、ボタンがありますが、このボタンを押し込むと裏蓋が開く作りになっています。
裏蓋を開いて鍵を差し込んで、ぜんまいを巻きあげると、キリキリキリという心地良い音が響きます。
コチコチという音が時計の動く音の代名詞になっていますが、この時代の大型のものは、それこそカッチンカッチンというしっかりとした音色。
力強い動作をする音が楽しんでいただけるというのも、この年代の大きさがある時計の特徴です。
古いスイス・英国製の時計らしく、「懐中時計らしい」風貌を備えているところが、アンティークらしくて良いところ。
木製の書斎机に飾っていただいたり、お持ちのアンティーク雑貨に合わせていただくと、とても良く映える男前な懐中時計です。
刻印がありませんが、スイス製で英国やヨーロッパに輸出され使われたものだと推測されます。
店主のワンポイントと評価
総合評価
残念ながら風防に少しヘアラインと呼ばれる軽いヒビが入っていますが、それでも入荷しているのは、アンティークならではの雰囲気の良い懐中時計であるから。
全体的な雰囲気が良いもので、文字盤に見える番号やローマ数字のインデックスなど、時計の味が「濃い」と表現できるものだと思います。
リューズ巻きではなく、鍵巻きというところも面白いもので、裏蓋を開けて操作をする手間がかかりますが、現代から感じていただけるのは、操作できる楽しみがあるという、その特別な感覚。
機械がシリンダー式というより古い作りであるため、次世代のものほどの精度は追求できないものではありますが、それを補って余りある雰囲気があります。
状態
拡大した写真を掲載していますが、2時を過ぎた付近から中央にかけて、軽いヘアラインがあります。
ただ、わずかに見える程度という状態で、時計の全体的な状態、雰囲気の良さや年代もあり、気にしていただくものではありません。
希少性
無銘の時計になりますので、まったく同じものは再度入手することはできません。
ただこの年代のスイス時計では、比較的一般的な作りではあり、状態こそ違えど似ているものは手に入るには入ります。
贈り物
雰囲気の良いもので、贈り物としてもとてもお勧めできる1点です。
ヘアラインがわずかにありますが、古いものではよくある状態のもので、裏側は金属の板になっているため、割れてしまうような作りではありません。
鍵巻き式という、若い世代の方ほど、新鮮に感じていただける作りですが、時間をかけることを楽しんでいただけるようになる年齢の方、ある程度、時間の余裕のある方にお勧めしたいものではあります。
備考
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