ティファニーの名を冠するに相応しい1点
現代ではティファニーは誰もが知る、高級ジュエリーメーカー。
各国の都心にそびえたつティファニーの店舗には、メーカーの格を表すような素晴らしさがあります。
女性を中心に誰もが憧れるメーカーであり、かつ手にしたいジュエリーメーカーの1つではないかと思います。
非常に古い歴史を持ちながらも、現在でも憧れの的であり、かつジュエリー業界をけん引する一大メーカー。
そんなティファニーだからこそ、ティファニーの「アンティーク」にも期待をせずにはいられないところ。
古くは自社で時計の製造・販売を考えたほど、こだわりの強いメーカーでしたので、時計についても特にアンティークでは、そんなティファニーのこだわりが見える時計があります。
この懐中時計をご覧頂くと、そういった当時のティファニーのこだわりをご覧頂けるかと思います。
特に銀無垢のケースの装飾が素晴らしく、表面に施された花の模様の立体感、そしてその背景にも非常に細やかな模様がびっしりと。
ここまで手をかけられているものも、なかなか見る機会がない、さらにティファニーの懐中時計となると驚くほどの希少性があります。
当時、銀器の扱いで有名であったティファニーならではの、「銀」へのこだわりが見える1点です。
あえて「磨かない」という美しさ
この懐中時計、色合い的にちょっと特徴がある「鈍色」(にびいろ)をしているのがお分かりいただけるかと思います。
これは銀特有の黒ずみで、磨けば白銀色になりますが、この時計については、あえてこの鈍色を残すことを想定して作られたものかと思います。
背景の細やかな装飾は、これを隅々まで磨き切るのではなく、この鈍色を生かして、時計の色味と装飾に深みを加える、それがこの時計に施された装飾の意味。
立体部分の花は、持ち歩いたり使用することで、その表面は軽く磨かれるため、立体かつ銀色として浮かび上がる。
元々ケース自体のデザインが立体的に仕上げられているものですが、そうすることで色の変化・奥行を立たせるという作りになっているのは、さすがこの時代の作り、こだわりが感じられるところです。
装飾と背景、どちらも際立たせる素材・色の使い方と言えますが、鏡面のような常に磨きが必要な作りとは違って、この色味のままを活かすと考えると、磨いたりという手間がかからないというのも、合理的な側面として素晴らしいのではないかと思います。
店主のワンポイントと評価
総合評価
ティファニーの同年代の時計を扱わせて頂くこともありますが、このような手の込んだものは非常に希少です。
あまり見かけること自体が少ないことはもちろんですし、装飾性の素晴らしさもあって、持つ・見ることを楽しんで頂ける1点かと思います。
現代のような携帯電話で時間を確認できる時代、秒針が無いというのも、時間にとらわれないという点でも、気持ち的にゆとりを与えてくれるものでしょうし、あるべきものが無いという楽しさもそこにはあります。
またダボ押し・ボタン式と呼ばれる時刻の合わせ方で、右肩に見えるボタン部分を押し込んだ状態でリューズを回すと、時刻が合わせられるという作り。
時代が進むことでリューズだけでの操作になっていきますが、当時はそれが「便利」であったのかもしれませんが、現代から見ると、この「不便さ」が時計を操作するという楽しみであると言えるでしょう。
サイズ的にも小さすぎず大きすぎず、ちょこんとした相棒のような楽しみがある懐中時計です。
状態
特記事項はありませんが、ケースは磨かずにそのままでご利用頂くことをお勧めします。
希少性
あまり見かけることのない希少品です。
贈り物
写真からでも作りの特別さが伝わるかと思いますが、それがティファニーのアンティークだとしたら。
贈り物としては、開けて驚くようなプレゼントになるかと思います。
備考
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