青く光る宝物のような懐中時計
「昔々あるところに」
昔話の定番の始まりですが、その言葉を聞くだけで、その情景が膨らむ美しい物語の序章。
この時計に関しては、この時計が物語の一部であるかのように、非常に美しい懐中時計です。
作られた年代のなせる業ですが、いわゆるアンティーク時計と呼ばれるものとは、一世代時代の違うアンティーク物。
時計の作りを見ていただければ、その芸術的かつ美術的な美しさに引き込まれてしまうものでしょう。
必見すべきは、写真からでもおのずとその目が留まる、裏蓋のエナメル装飾の美しさ。
モチーフになる絵の雰囲気が良いこともさることながら、光を透かすと驚くほどに綺麗に輝く、コバルトブルーのエナメル装飾が秀逸。
ただ単にエナメルを施しただけであれば、それがここまで輝くような光を出すことはありませんが、角度や光の入り具合によって、その姿や輝きを替えるのは、その下の金属面にも装飾が施してあるから。
美術品を作り上げるかのように、綺麗にそして丁寧に、昔からの技術を踏襲して表現する。
この小さな時計の一面に、その素晴らしさを感じていただくことができる特別な作りです。
また全体的な雰囲気としても統一感もあり、非常に綺麗なもの。
中央には妖精と花そして花畑を想像させるようなピンク色、そしてその周りには金銀で葉を飾り、深い輝く色を見せるコバルトブルー。
また時計の表側である文字盤にも、ゴールドのインデックスと豪華な針と、とても見どころのある1点です。
付属するチェーンをネックレスとして合わせていただくのも良し、またポケットに忍ばせていただくのもよし。
小さい懐中時計ながら、見どころ満載の味のある時計です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計に描かれた、まるで物語の絵本から抜け出してきたような、妖精が花を香るワンシーン。
サイズとしてはかなり小さなものですが、そこに驚くほどの技法が詰め込まれていることに感心していただける1点。
机に置いておいても、手の中に収めていても、その雰囲気の良さと青の「青さ」に見惚れてしまう素晴らしい魅力があります。
エナメルのふちの部分は少し欠けている部分もありますが、同系・同年代のものと比べていただいて、素材自体のことを考えていただくと、非常に状態の良いものだとお分かりいただけるかと思います。
状態
青いエナメル装飾のふちの部分は、少し欠けが出ていますが、年代や素材などを考えていただければ、非常に状態の良いものです。
また表側は金色になっていますが、他の同様の作りの時計がそうであるように、もともとはこの面にも単色の青いエナメルがあったものだと考えられます。
希少性
少し欠けなどはありますが、美しい面をしっかりと楽しんでいただけるほどの状態を持つものはとても希少です。
贈り物
華やかなジュエリーのような美しさはありませんが、それを補って余りあるほどの美術的な魅力があります。
ただ年代的に1800年代の作りのもので、懐中時計全盛期のものよりも、シリンダー式という一世代古い作りになります。
その点では、古いものにご理解のある方にのみお勧めします。
備考
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