商品のご紹介
昔の英国を題材とした映画で、昔風のドレスを着た登場人物が、懐中時計を手に持って巻き上げている。
古き良き時代・そんな情景が浮かんできそうな、とてもアンティークらしい懐中時計です。
作りとしては、白い文字盤に短針と長針という、とてもシンプルなデザインのものですが、懐中時計の原点は、このようなシンプルで本当に時間を見るためだけのもの。
白い陶製の文字盤は、とても上品ですっきりとした印象。
そのシンプルさに対して、ケースは14金無垢の豪華な素材で、非常に細やかな装飾が施されていて、アンティークらしい豪華さ・華やかさかのあるもの。
このコントラスト・対比が、品がある美しさという言葉がぴったりくる雰囲気を作り出しています。
特にケースの裏側や側面の彫りは非常に美しく、その当時の時代背景がそこから伝わってくるようです。
懐中時計の作りは、鍵巻き式と呼ばれる1900年以前に主流であった少し特殊なもの。
懐中時計の全盛期には、手巻きの腕時計と同じように、リューズで時刻合わせとぜんまいの巻き上げを行いますが、この時計のような鍵巻き式では、その名前の通り、付属の鍵を使って操作を行います。
時計の上のボタン部分、本来ならリューズがある部分ですが、このボタンを押し下げると裏蓋が開きます。
その内側にある2つの穴に、鍵を差し込むことで、ぜんまいを巻き上げたり、時刻を合わせたりすることができます。
構造としては、現代からみれば手間のかかるものではありますが、昔の映画などで鍵を使って時計を巻き上げている姿は、まさに上品で時間を楽しむという様そのもの。
手間がかかるということは、その言葉を返してみれば、それだけ時間をかけて楽しむことができるということ。
手間をかけることのぜいたくさ。それこそ忙しい現代に欠けているものだといえるでしょう。
どなたにでも合う懐中時計ではありませんが、デザインを気に入っていただけて、手間をかけることを楽しんでいただける方には、とてもお勧めできる綺麗で上品な懐中時計です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
この時代のスイス時計らしく、ケース自体もちょっとぷっくりと厚みがあり、吊り下げる輪も少し大き目なのが特徴です。
使っていただくと味わいがある、見ていて愛嬌があるという作りのもので、なんともいえない魅力があるものです。
小さな鍵を使って巻くのも個性の1つで、その形は昔の柱時計や置時計を操作するような感覚です。
鍵巻きというのは手間なものではありますが、書斎の机の上で、ゆっくりと巻き上げていただく時間は、なんとも有意義で楽しいものです。
こういう操作をするところが、いかにもアンティークで、懐中時計の中にあっても、操作していただくことが楽しいものでもあるでしょう。
お忙しい方や時間があまり取れない方にはお勧めできませんが、じっくりと時計と向き合う時間のある方にはお勧めできる作りです。
状態
裏側の2重になっている蓋の内側の蓋、2つの穴が開いている蓋に、少し経年劣化が見られます。
この当時のスイス時計の特徴で、ケース自体は金無垢ですが、この内蓋部分は一般的な金属ですので、経年による劣化が現れるのが一般的です。
素材の特徴と経年によるものでもあり、程度も非常に軽いものですので、特に気にしていただく点ではありません。
希少性
無銘の時計になりますので、まったく同じものは再度入手することはできません。
ただこの年代のスイス時計では、比較的一般的な作りではあり、状態こそ違えど似ているものは手に入るには入ります。
贈り物
非常に綺麗な装飾が施されているもので、かつシンプルで上品な雰囲気があるものです。
外観的な面からは、贈り物としても非常にお勧めできる1点です。
鍵巻きという操作の特殊さから、贈り物としては少しだけ評価を下げさせていただいています。
備考
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高橋智子様 【千葉県】 –
繊細な作りの時計がかもし出す時を刻む音に力強ささえ感じます。
長い年月を超えて存在しているとは思えないくらいの美しさ、正確さ、すべてにおいて感心しています。
保存状態の良さ、オーバーホールの技術の良さのおかげだと思いました。