当時の気の利いた遊び心のあるチェーン
懐中時計のチェーンには、その本来の目的である「懐中時計を落とさないこと」という目的以外に、もっと実用的な面もありました。
それは、チェーンに繋がれている飾りや物を見ると、なるほどと思わせてくれることがあります。
古くは鍵巻き式の懐中時計であれば、チェーンに取り付けられるのは、ぜんまいを巻くための鍵ということが良くありました。
このチェーンに取り付けられているのも、そういった実用的なもの。
チェーンの飾りでありながら、もう1つの役割を果たす、このチェーンの飾りで言えば、それはこの四角い硬貨入れになります。
英国製の銀製品であるこの硬貨入れ、1903年頃に作られたもので、ケースの蓋にホールマークの刻印が施されています。
併せられているチェーンもなかなか個性があって、デザイン的に面白いものです。
長さも十分にあって太さもあるチェーンで、合わせて頂くなら中型から大型の懐中時計をお勧めします。
硬貨入れとしての実用面は?
どのように使うのかというと、もう昭和時代のおもちゃになりますが、そういった時代の「バネ」を使ったおもちゃに似ています。
まずは上にある小さなボタンを押し込んで、硬貨入れの蓋を開きます。
硬貨入れの丸い部分に硬貨を押し込むと、中に入っているバネが収縮されて、さらに枚数を入れられるようになり、取り出すときはバネで押し上げられていますので、硬貨を横にスライドさせることで取り出すという作りになっています。
当時の英国硬貨用ですので、サイズは現代の硬貨には合いませんが、写真に掲載している通り50円サイズは綺麗に入ります。
硬貨入れとしては、ボタンを押し込んで蓋を開いて、さらに硬貨を引きだすという作業になりますので、実用にはあまり向きません。
また枚数を入れるとそれだけ重たくなりますので、そういった意味でも実用としてはあまり向かないのですが、実用に向かないものをあえて提げるというのも、アンティークならではの楽しみ方かと思います。
店主のワンポイントと評価
総合評価
しっかりと太さがあり立体感のある作りのチェーンで、長さもポケットまでしっかりと届く十二分で申し分ない長さがあります。
デザイン的にもちょっとしたひねりがあって、チェーン単体としても面白い1点です。
硬貨入れについては、丸い厚みのあるクッションのような、やや丸みを帯びた形をしています。
硬貨入れにもうちょっと装飾性があっても良いかな?と思いますが、両面ともに彫りは入っていないため、イニシャルなどの彫りを入れて頂くのもお勧めです。
状態
硬貨入れの表面は完全な平面ではなく、軽く凹凸があります。
写真ではお伝えしづらいのですが、使用されていたものですので、軽い凹凸がありますので、完全な平面ではありません。
希少性
英国の銀のチェーンとしては、1つの定番のスタイルですが、数の少ない部類に入ります。
贈り物
チェーン単体としてはデザイン的にも面白いもので、贈り物としてもお勧めです。
硬貨入れも面白いものですが、厚みやサイズがあり、実用的かというと持つ方によります。
備考
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