腕時計初期頃かつ非常に珍しい金時計
こちらの1点は、オメガの腕時計の中でも作られた時代が古く、軽く100年を超えている1点。
その製造年だけでも、どれだけ珍しいものかお分かりいただけるかと思います。
この時計が作られた時代は、まだまだ懐中時計が主に使われていた時代で、やっと腕時計へと移り変わろうかという頃のもの。
ちょうど第一次世界大戦の頃にあたり、腕時計として見られるものでは、ミリタリー的な外観のものが多かった時代です。
オメガにご興味のある方なら、そんなミリタリー的な外観を持った時計を、ご覧になられたことがあるかもしれません。
そんな時代背景の中にあって、こちらの時計は写真にご覧頂ける通り、非常に上品な外観を持った1点。
時代的に懐中時計から腕時計へと移り変わる変遷期ということもあって、その作りはまさに懐中時計のそのままに。
陶製の文字盤に豪華な形をした金色の針、赤い数字での24時間表示など、この時代の時計の作りをそのままに小さくして腕時計とした作りになっています。
それがよくわかるのは、裏蓋が懐中時計のように2枚蓋になっているところも、この時代ならでは。
ワイヤーラグと呼ばれる、バンドを留める部分の形にしても、やはりこの時代ならではの作りで、現代の時計と比べての違いがはっきりと見て取れるものになっています。
リューズが12時の位置にある特別品
時間を見る時、通常は左腕をしっかりと右側のほうに曲げて、12時の位置を上にした状態で時間を見ることになりますが、これは「腕時計を見る時は腕を曲げる」という既成概念があるので、当然のように思われていること。
ですがこの既成概念が無い状態で考えると、ちょっと腕が窮屈になる、時間を見るためにしっかり腕を曲げるという動作が、体の動作として不自然だと思われませんか?
写真をご覧頂いた際に、「あれ?」と違いにお気づきになられたかもしれません。
こちらの腕時計はリューズの位置が12時の位置にあるという、非常に特別な作りになっています。
当時としては紳士物・男性用のサイズになりますが、左腕に着けて頂くとどうなるかおわかりになられますか?
この時計のように12時の位置にリューズがある場合、腕を右側に曲げずに時間を見ることができるようになっているのです。
当時、どのような使われた方をしたかといいますと、少しご想像頂くことになりますが、この時計を身に着けると、12時の位置がリューズ側=手の甲側に位置することになります。
このような状態で、腕を車のハンドルに置いた状態を想像してみてください。
腕をハンドルに置いた状態のほうが、時間が見やすくなりますね?
このような作りから、当時は「ドライバーズウォッチ」という呼ばれ方をされていました。
ミリタリー用の腕時計にも見られた作りで、軍用品は飛行機乗り用としてパイロット時計などとも呼ばれていました。
現代でなら、コンピューターのキーボードに手を置いた状態のほうが、時刻が見やすいというそのような作りになっているものです。
店主のワンポイントと評価
総合評価
オメガ好きの方でも、そうでない方でも、「これがオメガの腕時計?」と驚いて頂けるもの。
時計そのものとしての見た目も特別で、豪華な針の形はもちろん、艶のある白色の文字盤など、高級品のラインナップとして現代になって復刻されてはいますが、しかしながら現代と昔のものでは見た目にも雲泥の差があります。
そこはやはり100年以上経った、歴史と風格、その時代だけの作りの特別さがはっきりと表れます。
腕に着けた状態で、スーツの袖から見える腕時計。
車を運転するその腕に、この時計があったなら。
その時計がこのような豪華な見た目を持つもので、かつ時計の向きが当たり前のものでないものであったら。
初めてご覧頂く方なら、驚いて頂けることはもちろん、そういった趣味のお話を楽しんで頂けるという点も面白いもの。
当時としては男性用のサイズですが、現代と比べると小さめになりますので、女性用としてもお勧めのサイズです。
現代のオメガからさらに一歩深いところで楽しんで頂く、明確な違いのある1点です。
状態
写真を掲載していますが、時計の裏蓋に窪み・凹凸があり、また使用経年による劣化が若干あります。
希少性
作りとしても非常に特別なもので、ご覧になられたことのある方のほうが少ないものでしょう。
贈り物
年代や素材、デザイン的な面や特殊性など、非常に個性も話題性もある特別な1点。
贈物としても非常にお勧めのできる1点ですが、どなたにでもお勧めできるものではありませんので、プレゼントにされる場合は、状態面・サイズなどご確認ください。
備考
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