オメガらしくない時計という面白さ
現在のオメガをご存じの方なら、ショーウインドウーに並ぶ、モダンでキッチリとした形の腕時計を思い浮かべられるはず。
そんなイメージが、オメガの21世紀世界の当たり前。
ですが時代を遡って1900年頃、懐中時計の時代に目を向けると、オメガもまさにその時代を走り抜けた時計メーカー。
現代も残る老舗のメーカーでありながら、その当時も「懐中時計」をたくさん送り出していた現代に続く現役時計メーカーといえるでしょう。
この懐中時計の時代まで遡ると、スイスのオメガの時計博物館に並ぶ時計たちのように。
この時計のような特殊な懐中時計も、オメガは世に送り出していました。
現代のオメガを知る方にとっては「らしくない」形ですが、それはまだ時計の奥深さに辿り着いていないことの証。
懐中時計の世界を知ると、現代の時計との対比、その使い道の面白さと、「時計を使う」という世界がさらに広がります。
銀と黒のニエロ装飾
この懐中時計の大きな特徴は、白色の文字盤に豪華な繊細かつ豪華な装飾の針、そして懐中時計というそのスタイルにありますが、やはり注目はこのケースの装飾部分。
アンティーク時代に用いられた技法で、ニエロ(黒金装飾)と呼ばれるもので、彫りや立体とは違う特殊な色合い・デザインを施すことができた技法として、懐中時計にもごく短な期間ですが用いられていたものです。
ただ単に銀の懐中時計では物足りない、もっと特別感が欲しいという方には特にお勧めのもので、良く見る「銀時計」とは一線を画す特別さ。
細やかな縦に走る装飾が、ケースの裏側全体にそして表側にも。
側面にも違った装飾が施されていて、銀時計の金属という表面とは違った、新たな面白さを感じさせてくれます。
店主のワンポイントと評価
総合評価
「オメガ」のアンティークの懐中時計。
シンプルに銀一色の鏡面のように綺麗な懐中時計も、確かに面白い物です。
しかしながら、アンティークというところにこだわるなら、実はさらにもう1つ上がある。
鏡面の懐中時計を生み出すのと、このような装飾を施す懐中時計を生み出す、そこには手間と時間という点でも大きな違いがあり、希少性という点でも大きな違いがあります。
懐から取り出す時計が懐中時計であったなら、そしてこのような特殊なデザインであったなら。
手に取る自分自身を想像していただいて、そこに価値を見出して頂ける方なら、この手間と時間をかけた姿、そしてそれが状態良く残っている希少さを楽しんでみませんか?
知る人ぞ知るという特徴ではありますが、懐中時計のリューズに繋がる首のような部分ですが、この部分が少し長くなっているのも、古さを感じる特徴の1つ。
100g級という大きさ・重さも楽しんで頂きたい特徴の1つです。
状態
経年や使用による傷はもちろんありますが、写真で拡大していますが、吊り下げる輪がケースに当たる部分のニエロ装飾に、少しだけ欠損している部分があります。
ただ技法的な部分、また100年以上経ってのもので、なかなかこれだけ良い状態のものはありません。
希少性
作られた数自体が少ないもので、状態良く残っているものとなるとさらに珍しいものになります。
贈り物
アンティークそして懐中時計という中でも、とても個性のあるデザインを楽しめる1点。
現代からは想像もつかない「オメガ」の懐中時計で、状態面としても素晴らしく、特別な贈り物として価値のある1点かと思います。
備考