味のある素朴さと風格の懐中時計
懐中時計が全盛期であった1800年代後半から1920年頃までは、時計と言えばまだ懐中時計のことで、各メーカーもこぞってそれを作っていた時代でした。
それが1930年代に入ると、一気に腕時計へと流れが動き、40年代に近くなると、懐中時計自体が珍しい物に変わっていきます。
この懐中時計が作られた時代は、時計の主流としてはすでに腕時計へと移り変わった後の時代。
このオメガの懐中時計も、時代的には完全に腕時計の時代に移り変わってからのもの。
それも30年代の他社の懐中時計と言えば、その時代に合わせた薄型であったり、金属の文字盤であったり、懐中時計を作る技法も大きく変わっていたものです。
懐中時計全盛期のスタイルを堪能
腕時計全盛期へと移り変わる、そんな時代にあって、昔からの懐中時計を忠実に作り上げたのがこのオメガの懐中時計。
数十年の間に技術の進化した機械は、この時代のものですので当時とは違いますが、その点を除けば、形や姿・素材などのスタイルは、1910年・1920年頃までの、当時の定番の懐中時計をそのままに。
懐中時計を集めている方でも、この時計を持って、1940年頃の物だとは思わないほど、とても良く当時の姿で作られているものです。
デザイン的にはシンプルですが、これぞアンティークの形であって、その素朴さに力強い魅力あり。
陶製の文字盤にインデックス・数字などのスタイルもそのままに、ブルースチールの針、懐中時計のケースそしてリューズの形までも、とても綺麗に作られています。
現代でよくみる「復刻版」とはまた違ったものですが、時計が懐中時計から腕時計へと急激に移り変わってしまったことで、懐中時計を愛用している方へ、そのままをお渡しできることを目的としたものであるかのように、とても良く作られていることがわかります。
店主のワンポイントと評価
総合評価
1920年・1940年、たった20年の違いですが、時計としては非常に大きな変化の起った20年。
その時代の流行に乗る方もいた半面、長く愛した懐中時計という形を使い続けた方も多かったはず。
そういった方々の要望を満たすには、十分すぎるほどにこだわった作り。
懐中時計時代の定番を余すことなく取り込んだ、非常にアンティーク感に溢れた1点となっています。
状態
使用や経年による軽い傷はあります。
希少性
この時計が作られた時代としては、圧倒的に腕時計が主流で、懐中時計としては非常に少なくなっていた時代で、そういった意味ではこの時代の懐中時計としては希少なものです。
贈り物
外観を見れば言わずもがな、率直に伝わるアンティーク懐中時計の良さがあります。
大きなリューズに懐中時計の「らしさ」がたっぷりと詰まったもので、状態面も含めて非常にお勧めできる1点です。
備考
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