戦時下の銀時計
日本では大正時代、世界は第一次世界大戦まっただ中という時代に作られた、オメガの銀無垢懐中時計。
緩やかだった時代の流れが、一気に戦争へと傾き始めた時代のこと。
軍事目的に技術も飛躍的に進歩した時代にあって、多くの時計たちも戦場へと向かった時代でもありました。
今では考えられないことですが、高級メーカーであるオメガですら、戦争へと巻き込まれていくことになります。
24時間という概念へ
当時の時計のほとんどは、12時間表示で、現在もそうですが文字盤にあるのは1~12時まで。
それを変えたのが、より時刻を読みやすくするための24時間表示です。
一般の時計の需要に応えつつも、軍用にも転用できるようにしたのが、文字盤にあとから印を押すという方法。
あとから付けられたものですので、拭くと簡単に取れてしまうのですが、このような形で時計が出回ったことが感慨深いものだと思います。
時計自体は一般的なアンティークの銀時計そのまま。
この赤い文字を取ってしまえば、当時の銀時計と変わるところはありません。
趣きのある銀のケースに、艶のある白い文字盤にブルースチールの針。
裏蓋には、アンティークならではの盾の装飾と、アンティークらしい懐中時計です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
現行の新しいオメガとはまったく違いますので、懐中時計であることを新鮮に感じていただける1点だと思います。
この時代の懐中時計の特徴をしっかりと備えていて、アンティークらしさの漂う懐中時計です。
この時計自体は、軍用であった確かな証拠の無いものではありますが、限りなく軍用として使われたものだと考えられるものです。
状態
ケースの裏側に窪んでいる箇所があります。
また写真でご確認いただけますが、文字盤の4時と8時の外側に、わずかにヘアラインが入っています。
希少性
当時のオメガの懐中時計、また他のメーカーでも同様に、一般的な銀時計の基本を押さえた形です。
贈り物
ケースの窪みや文字盤のヘアラインこそありますが、時計の用途を考えれば、とても味のある1点です。
できれば軍用の名残である赤い数字は残してお使いいただきたいのですが、拭き取って普通の懐中時計として使っていただくのも良いでしょう。
少し傷こそありますが、オメガということもあって、実用として気兼ねなく使っていただきやすいものだと思います。
備考
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