大正時代の浪漫を感じる腕時計
懐中時計の時代から、腕時計の時代へと移り変わる。
100年以上前に起こった、時計の作りそして人々の好みの変遷。
その始まりは、ただ単に懐中時計の作りをそのままに、それを腕に取り付けられるように。
そして小型化・量産化へと時代が進み、人々の嗜好はより便利な腕時計が好まれるようになっていきます。
そんな流れの中、女性のための腕時計は、女性が普段身に着けるジュエリーと同じように、ジュエリーに用いられていた技術や作りを取り入れていくことになります。
この時計は、婦人物の腕時計がある意味で「こうあるべき」と方向づけられる前の時代のもの。
より小さな定番の形に移行する前の、その前時代の狭間に作られたもので、非常に個性ある1点です。
形と雰囲気から伝わる品の良さ
どうですか? このような形の腕時計をご覧になられたことはおありでしょうか?
時計の形自体が面白いのはもちろんですが、時計のバンドをご覧いただくと、なんと布で作られているものなのです。
そして時計のバンドを留める金具をご覧頂くと、これもまた特殊で、非常に綺麗な装飾が目を引きますが、実はこの部分が2つに分かれるようになっていて、この2つを合わせることによって、バンドの長さの位置を決めることができるという作りになっています。
時計のバンドといえば、よくご存じなもので言えば、革そして金属、また少し古いものでは紐状のものになりますが、さらにさかのぼると、このような薄手の生地を使ったものもありました。
この部分をご覧頂くだけでも、この時計が過ごした100年という歳月を実感していただくことができるのではないでしょうか。
また時計自体の形も非常に個性のあるもので、長八角形という上品な形をしています。
そのケースの形に合わせるように、もちろん風防もその形、文字盤自体のデザインも目盛り部分は八角形になっている味のある作りです。
ケースの側面には彫りがあり、リューズの形もこれもまたアンティークならではです。
店主のワンポイントと評価
総合評価
写真からも伝わるかもしれませんが、とても「絵になる」腕時計だと思います。
布バンドに装飾のある金具という特徴はもちろんですが、それを差し引いても、細長い八角形のケースの形がとても上品で、何とも言えない艶っぽさが時計から伝わってくるようです。
時計の顔である文字盤の数字、全体的なスタイルも合わせて、とても良い雰囲気を醸し出しています。
状態
文字盤に若干の経年劣化は見られますが、長い年月を経てのものですが、非常に軽度で状態の良いもの。
この時計の雰囲気に合った風合いの良いものですので、そのままの姿にしています。
希少性
時代的に作られた数自体が少ないもので、特殊なデザインのもの・状態面も合わせると、なかなか同じものというのが見つからないものです。
贈り物
時計自体は、アンティークならではの雰囲気あり、その時代ならではという個性と品があるとても良い作りで、贈り物にもぜひにお勧めしたい1点。
文字盤に若干経年変化が出ていますので、アンティークに対してご理解のある方にのみお勧めします。
備考
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