懐中時計の延長から腕時計としての脱却
まだまだ懐中時計が主役として使われ、腕時計としては駆け出しの時代。
「腕時計」という形が整いきらずに、試行錯誤が繰り返されていた1920年代。
ある時計は懐中時計そのままの機械を使い、ある時計は陶器の文字盤やケースの作りに至るまで、懐中時計の延長線上であるものがたくさんありました。
そんな腕時計としての始まりの時代に作られたのが、このロンジンの非常に珍しい腕時計です。
年代的にこのような時代に作られたものでありながら、すでに1940年代の腕時計・手巻き時計全盛期に用いられる腕時計の形をしっかりと持ち、現代の時計にあってもそれが引き継がれているともいえる、本当に見事にデザインされた腕時計といえるものです。
しかも作られた年代が年代だけに、その年代の良さもうまく引き出されているもので、随所に手がかけられている点が見られるのも面白いところ。
ケースの形は全体的に確かに完全な腕時計の形でありながら、それでいながら非常に手の込んだつくりになっていて、後年に訪れる大量生産向きではないところも、やはりこの年代の味。
またこの年代にわずかな期間に用いられた、文字に施された金色の装飾もまた年代を感じることのできる特徴の1つです。
アンティーク時計では、比較的サイズの小さな時計が多いなか、この時計は縦長のやや大きめなサイズも特徴の1つ。
昔は小さな腕時計が好まれたものですが、現代では腕時計はファッション的に使われる時代になり、そういう意味ではこのようにサイズの比較的大きなものは、「見せる」ことのできる時計でもあります。
腕時計としてすでに80年以上を過ごしてきたもの。
そんな時代にこんな綺麗な時計があったのかと、アンティーク時計を見直してもらえるようなデザインが魅力です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
デザイン的に上品なものでもあり、特にスーツや上品な服装に良く似合います。
時計として程よい年季を感じ、またアンティーク時計としての特別さを感じることのできる1点。
お求めいただいたお客様のご希望を受けて、アンティークという点を感じられるよう、できるだけオリジナルの状態でというご意見を受けて、入荷させていただいた特別な1点です。
状態
状態としては、文字盤に経年による変化は出ていますが、全体的な状態としては申し分ないもの。
アンティーク感を楽しんでいただくという点においては、プラスとして見ていただく部分です。
希少性
年代やデザイン的に特殊なもので、非常に珍しい1点です。
40年代になるとありそうなデザインではありますが、ありそうで無いのがこの年代のこのスタイル。
そしてこの年季の入り方でしょう。
贈り物
アンティーク感とそして特別なアンティークという意味では、とてもお勧めできる1点。
あくまでその価値をお分かりいただける方にだけ、お勧めしたいものです。
備考
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