歴史も伝える金時計
この時計が作られた当時は、今以上の名声を得ていた高級メーカーのロンジン。
数々の展覧会での受賞歴を誇り、現在でもアンティークは「ロンジンが好き」とおっしゃられる方が多ことでも知られています。
この時計は、そんなロンジンの大型の蓋が付いた、ハンターケースと呼ばれる形の懐中時計。
ケース自体も14金無垢と豪華な素材で仕上げられているもので、そのあたりの質感はさすがロンジンといったところです。
ケースの装飾自体は定番のものですが、それだけにとてもアンティーク感のあるもの。
シンプルな白色の文字盤に、豪華なスタイルの針も魅力。
そしてこれもまた歴史を感じる大きなポイントで、蓋の内側にある刻印には、1891・22.12・1916とあり、そこに刻まれている名前は、Spandauerberg Brauerei。
この名前、実はドイツ・ベルリンの醸造所の名前で、現在まで続くSpandauer Bockというバーの隣りにあったもの。
興味深いのは、ここに記載されている終わりの年、1916年はこの醸造所が他の醸造所に経営権を渡したその時のもの。
これだけの金時計にこのような記念的な年を刻印したのは、おそらく経営に当たっていた方やそれに近しい方が、1891年からその移譲したその年まで関わっていたという記念なのではないかと思われます。
スイスのお隣りのドイツのお話しで、時計の製造年とも合致します。
時代は第一次大戦当時で、その舞台となったヨーロッパ・ドイツでのもの。
ただ単なる懐中時計というだけでなく、その歴史の重みを感じるところのあるものです。
ひと手間かけて楽しむ
この懐中時計を楽しんで頂くなら、ちょっとした違いが面白いところだと思います。
懐中時計のこのサイズ、そして蓋を開けて楽しむという点でも面白いものですが、ちょっとした違いがあります。
リューズをよくご覧頂くと、リューズの上に小さなボタンがあるように見えませんか?
通常はリューズそのものを押し込むと、蓋が開く作りになっていますが、このリューズ上の小さな突起を押すことで、蓋を開くという作りになっています。
また表蓋を開けた写真を掲載していますが、4時の外側に引き出されたレバーを写した写真があります。
この時計の時刻合わせは、レバー式・剣引き式と呼ばれるもので、これを引き出してからリューズを操作すると時刻を合わせることができるようになっています。
これをご覧になられて、手間だなとお考えいただくのか、操作を楽しめると考えて頂くのかで、この時計を使って頂くのに向いている・向いていないというのもわかります。
ちょっとした違いではありますが、現代の時計と比べると、より楽しんで頂ける作りかと思います。
店主のワンポイントと評価
総合評価
この時計、写真をご覧頂いた雰囲気そして手に持ったサイズ感など、とても良い作りのものです。
作りや素材・大きさとしても珍しい部類に入りますので、持った感覚にとても満足感があります。
その存在感や刻印から伝わる、語る歴史があるという点も魅力。
ただ表蓋の上部に外観また触ってもわかる凹凸や窪みがあり、写真でもご確認頂けるかと思います。
おそらく何かの折に、誤って踏んでしまった等ではないかと思いますが、その点を差し引いても、このまま溶かしてしまうのはあまりにもったいないものですので、次の世代に繋げてもらえる方を待つべき懐中時計かと思います。
人によってはあまり気にならない程度かもしれませんが、商品写真ではうまく伝わらないところもありますので、ご不明な点があればお気軽にお尋ねください。
状態
表蓋の上部に凹凸・くぼみが見られます。
詳しくは写真もご参考ください。
希少性
ロンジンの大きな金無垢のハンターケースで、素材や年代からも比較的珍しいものです。
贈り物
ロンジンでかつ金時計のハンターケースとくれば、贈り物としても非常にお勧めできるもの。
ただ商品の説明また写真にもあるように、凹凸・窪みがありますので、その点をご理解頂ける方のみにお勧めします。
備考