アンティークロンジンの美しさを伝える
現在も残る時計メーカーとしては、創業1832年という、ずば抜けて古い歴史を誇るロンジン。
大手の高級メーカー等が創業した1800年代後半、1900年頃とは大きく水を開け、語られる歴史のあるメーカーです。
現在でも年配の方に尋ねると「時計と言えばロンジン」、時計マニアの方が好きなメーカーとして知られることからも、その実力がお分かりいただけることでしょう。
非常に古い歴史を持つロンジンは、懐中時計時代から数々の賞を受賞していることでも知られ、この時計のケースの内側にも、この時計が作られる少し前の1900年・パリで受賞したことが刻印されています。
当時としても高級メーカーであったロンジン。
機械や技術にも非常にこだわったメーカーであり、とても信頼あるメーカーとしても知られていました。
現在まで残る高級ブティックブランドであるティファニーなどへも、時計や機械を提供していたことからもそれをうかがい知ることができます。
最高の美しさを誇る黒金装飾
この懐中時計は、そんなロンジンの1905年の作品。
その魅力は、この当時の懐中時計またジュエリーの技法を用いた、黒金装飾という手法の美しさにあります。
写真からでもその美しさが伝わりますが、いかんせん写真であるため、この色合いの持つ上品さが伝わらないのが残念なところ。
それでも、施されている模様の美しさからも、どれほどの手間が掛けられているのかがお分かりいただけるものでしょう。
裏面・側面・そして表面のガラス縁周りにも見えますが、非常に綺麗に装飾が施されていますが、これは実は単なるメッキのような模様ではありません。
銀面を最終的に外側(銀色)に残す部分を高く、黒く見せる部分を彫り下げ、その下がった部分を黒金で埋めることで、このような銀と黒(いぶし銀)のような色合いに分けています。
このことからお分かりいただけるように、銀色に見える模様は、ただ単に表面だけのものではなく、模様としてそこに浮かび上がらせてあるもの。
驚くほどの手間が掛けられていることが、お分かりいただけるのではないでしょうか。
裏面のケース装飾の美しさは、本当に素晴らしいもので、スイスにあるロンジン博物館に飾られているものに匹敵するほどのデザイン・状態の良さ。
おそらくAとOだと思いますが、イニシャルを模様としているその模様彫りも美しく、魅力のある姿をしています。
陶製の文字盤に豪華な金色の針、そしてリューズ下にも同様に模様が施されているのは、端々まで丁寧に仕上げられていた時代の証。
あまり見ることのない、とても貴重な1点です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
装飾が非常に綺麗で、デザインの良さはもちろん状態の良さも合わせて、非常に珍しいものです。
黒金装飾ならではの色の美しさ、そしてローズ色で彫られたイニシャルとの組み合わせが非常に美しく、とても雰囲気のある懐中時計です。
時間を確認するよりも、その裏側をついつい眺めてしまうほど、そして裏面を表として飾ってしまうほどに、その魅力に引き寄せられる1点です。
状態
黒金装飾にところどころ摩耗は見られますが、この作りとしては、ここまで状態の良いもの自体が稀です。
若干経年劣化を受けている部分もありますが、それを加味しても、同系のものとしては、非常に状態の良いものです。
また文字盤の8時付近に、針の先ほどの小さな傷があります。
希少性
同系の物自体が珍しいことはもちろん、ここまでデザイン性が高く、かつ状態の良いものが入手することはめったにありません。
贈り物
この装飾をご覧いただければ、普通の懐中時計でないことは一目瞭然。
美しさに魅了されること間違いないしという程に、とても綺麗なもので、贈り物としても非常にお勧めしたい1点です。
ただこの美しさ、この技法でこの状態の良さという点にご理解を頂ける、またご存じの方だけにお勧めしたいものです。
備考
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