一流時計メーカーと高級ジュエリー商の合作
100年という世紀を超えた時代だったからこそ出来たもの。
現代から考えると、どうしてそこまで手を掛けるのだろうと思えるほどの品が存在しています。
アンティークの世界に垣間見える、その時代だからこその産物であり宝物。
持つものにとっては昔は当たり前であった、「欲しい物を作る」という慣習が「物」にも息づく。
この時計は、そんな時代の良さが、目と手を通して、直に伝わってくる1点です。
博物館に収蔵されるジュエリーを作ったマーカス
ニューヨークはマンハッタンのブロードウェイ。
五番街が高級ブティックの並ぶ通りとして有名ですが、この時計がデザインされたのが同じくブロードウェイの17番街にあった高級ジュエリー店マーカス&Co.
初代であるハーマンマーカスが、ティファニーを離れて創業し、ティファニーの血脈を受け継いだ中でも特に優良児。
宝石を使った美しい創作ジュエリーデザインで名を馳せたことでも知られ、当時のマーカスがデザインしたジュエリーが、今では博物館に収蔵され、コレクター間で非常に高値で取引されるほどの貴重品。
まさに高級ジュエリーデザイナーとロンジンという時計での合作。
それを聞けばこの時計を見ても、納得していただけるのではないでしょうか。
博物館に収蔵されるジュエリーを作ったマーカス
見どころは、時計のケースにある非常に綺麗な花模様。
淡い青い色合いの大輪の花には、柱頭・雄しべまでしっかりとデザインされていて、台座には金の模様の入った装飾。
回りを緑の葉と小さな花で囲み、小さな花にはダイヤモンドとパールと、2種類の宝石があしらわれています。
デザイン的に懐中時計では考えられないほどに、それぞれの花や装飾が立体的になっているのも大きな特徴。
横からの写真も掲載していますが、ケースから飛び出すほどに立体的な装飾。
「時計をデザインする」のではなく、そのものをブローチとして考え、「ブローチの土台として時計を取り入れた」と考えたかのような、「デザイナー主体」の作りもまた魅力です。
それだけに留まらず、懐中時計をブローチとして身に着けていただけるようになっていて、時計と同じく14金のブローチをセットに。
ブローチの裏側には、懐中時計のリングを引っかけられるような作りになっていて、この時計のリングがぴたりと収まるように、ちょうどこの時計が留まるサイズになっています。
装飾のあるケースの裏側は緑を基調に。
時計の顔である文字盤側も美しく、ロイヤルブルー色の数字のインデックスに見られるように青が基調。
青い数字にブルースチールの特徴ある針。
分表示にはゴールドのインデックスと、とても上品な顔立ちをしています。
当時としても高級なロンジンの金無垢時計、製造段階から二者がタッグを組んで、高級ジェリー商・デザイナーが仕上げる。
時計の中に、マーカスの名前が刻印されていることからも、当時どれほどの影響力があったのかを窺えます。
当時の価値そしてその後の流れを知れば、その価値は容易に想像がつくはず。
しかもその高級な時計を惜しげもなく、ブローチとして提げてしまうなんて、どんな方が身に着けたものなのか。
これほどの時計を身に着ける「当たり前」、その贅沢さに驚かれることでしょう。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計自体に平面的に装飾を施したもの、彫りやエナメル装飾などが定番ですが、この時計のように、立体的にデザインされたものはとても希少です。
その作りや仕上げに伴う難しさもさることながら、メーカーと協力して作られたことでも、時計の価値がわかります。
どなたにでもとお勧めできるものではありませんが、当時の一流ジュエリー商・デザイナーが手掛けた時計として、やはり非常に趣深く、魅力のある時計です。
ブローチのまま実用として使われるのであれば、セキュリティチェーン・落ちないようにブローチと時計を繋ぐ細い鎖を取り付けてあげると安心です。
こちらでも対応いたしますので、ご希望がございましたらお尋ねください。
状態
ケースの側面に、少し小さなくぼみのある個所があります。
100年ものになりますので、経年劣化は見られますが、希少性高く総じて状態の良いものと言えるでしょう。
希少性
マーカス作の創作ジュエリーが博物館に収蔵されるほどのもので、1点ものの希少品です。
贈り物
当時の一流デザイナーによる創作ジュエリーの極み。
贈り物としてはまさに1点ものの傑作品で、お勧めできないはずがないほどの特別品です。
備考
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