アンティークという雰囲気と風格を楽しむ時計
この懐中時計に求めていただきたいのは、宝石のような輝きではなく、内からにじみ出るようなアンティークの奥深さと重厚さ。
その理由は、この時計の写真をご覧いただければ、すべて理解していただけるものだと思います。
そこに立っているだけで絵になる、語らずともその背中が語るいぶし銀の一流役者のような風格を備えているのが、このアンティークロンジンの懐中時計です。
いぶし銀という役どころだけに若くは見えないのかもしれませんが、そこには長い年月を経なければ醸し出すことができない、深い味わいと漂うような色香と風格があります。
ケースに使用されている銀という素材の渋さはもちろんですが、アンティーク時計の中でも非常に短い間だけ使われた黒金装飾という黒い色を取り入れた技法が使われています。 銀と黒という組み合わせは、銀独特の渋みのある色合いにぴったり。
この特別な装飾技術が、この時計独特の渋みのある深い色合いを出しています。
またケースの全面にびっしりと刻まれた装飾は、これぞアンティークという見ていても納得の図柄。
装飾デザインの優雅さは王侯貴族といった時代物の美しさで、中央に描かれている女性の服装は100年前の当時のもの。
この時計が作られた100年の昔、その当時の人たちの暮らしは変わりつつありながらも、古きよき伝統や技術を伝えていました。
そして人々の憧れは、古き優雅な時代の美術や装飾をその時代にも伝えていたのです。
人々が求めた憧れそしてジュエリー・時計という装飾品に求めた高貴さ。
それがデザインとなって表れています。
なぜこのような美しい装飾の中に、女性が描かれているのか。
時計が非常に高級であったこの時代に、このように手間と時間をたっぷり使った装飾を施した時計を作らせ、美しい女性を中央に描いた理由は何だったのか。
アンティークの深い魅力にも心をぎゅっとつかまれるような思いに駆られることでしょう。
もちろんどなたにでもお勧めできる時計ではありませんが、古さの中にある高貴な風格と渋み。
歳月を経た味わいを求める方にとっては、まさにうってつけの懐中時計といえるでしょう。
店主のワンポイントと評価
総合評価
特に高級なアンティーク時計に求めるのは、金に代表するような輝くような豪華さと、銀に代表されるような渋みのある重厚さの2つに人気があります。
この時計は明らかに後者の渋みのある重厚さを持つ時計ですが、ただそれだけに留まらず、豪華な金時計に見られるような、煌びやかなまでの装飾を、銀という素材でこれでもかというほどに表現した逸品。
金時計の美しさは当然ですが、この時計のような渋みやアンティーク感をしっかりと感じさせてくれるのは、とことんまでこだわったこの銀時計の大きな特徴。
どこからどう見ても抜きん出るアンティークの魅力は、どこにお供をさせても、この時計を取り出すだけで話題になってくれるような、本当に「個性」という魅力を感じる時計です。
状態
本来は黒もしくは灰色に見える黒金装飾が、銀細工の窪んだ部分のほとんどに施されていたと思われるものですが、黒金素材の特徴として、長い歳月によって摩耗しやすいもので、大部分が摩耗もしくは剥がれ落ちてしまっています。
それでも残っている部分の多少に関わらず、どの部分を取っても非常に雰囲気の良いもので、黒金装飾の味わいの深さがしっかりと残っているといえるものです。
これだけの長い歳月を経てもしっかりと残り、かつこのように時計の雰囲気に加味されるような味わいであることを考えると、状態的には決して悪いものではなく、アンティークの味わいとして見ていただく部分です。
希少性
図柄やデザイン・作られた年代的なこと、また特にアンティークらしい雰囲気の出方や状態は、その時計が過ごした年輪のようなもので、同じものはまたとありません。
贈り物
総じてアンティークの良さが伺える風格のある時計です。
状態的には黒金装飾が落ちてはいますが、長い歳月を経ているもので、状態的にはアンティークらしい風合いを良く出しているものです。
贈り物としてもお勧めの1点ですが、歳月を経た「アンティークの味」についてよく理解されている方にのみお勧めします。
備考
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