素晴らしい傑出した個性の塊
アンティーク腕時計の中でも、ちょっと変わった個性を持っているのが1920~30年頃の腕時計。
誰にでも好かれるようなデザインではないものの、本当に「個性の塊」、特別なデザインや技法が使われていることでの面白さがあります。
この時代をより少し前に遡ると、より懐中時計的になり、少し過ぎると40年代を中心とした、上品で華やかな時代になる。
その狭間の腕時計ではあるのですが、「腕時計」というスタイルが確立されていなかったからこその試行錯誤・面白さが際立ちます。
この腕時計はまさにそれに当てはまるもので、写真をご覧頂くだけでも、「なるほど」そういう意味かと納得していただけるものだと思います。
形として現代の腕時計に近づきつつもありながら、この時代にこれを量産するとなると、「どれほどの手間」がかかったのだろうと思える非効率性。
現代の時計のように、完璧でキレのあるデザインではなく、いびつさ・不完全さがありますが、現代から見ると、これこそ「現代では再現できない」特別な個性。
昔の時計が復刻されることもありますが、この再現できない時代の味というのが、アンティーク時計の楽しさと言えるでしょう。
デザインや作りの面白さ
写真をご覧頂くと、説明するまでもないかもしれません。
全体の雰囲気が良い、それに尽きるのではないでしょうか。
ケース自体の形が横に少しだけ膨れたトノー型になっていますが、そのケースの四つ角には立体的な特殊な装飾。
そしてその装飾の間には何もない部分があるわけですが、ただ単に何もないだけではなく、その装飾面と合わせて際立って見えるような作りになっているのですが、これは写真では伝わりにくいところかもしれません。
ケースの側面にも装飾があり、風防(ガラス)自体の形も独特で、携帯電話がガラパゴス化と言われていましたが、この時代から腕時計に使われるガラスの形は、形・大きさに厚み、際限ないほどの種類が出ていくことになります。
カジュアルなデザインの文字盤、蛍光のインデックスやアンティークらしさが光る針の形。
ご覧頂ける様々な仕様や装飾面が合わさって、とても特別な腕時計として仕上がっています。
店主のワンポイントと評価
総合評価
40年代に腕時計のデザインで業界を席巻するグリュエンですが、そのセンスがすでに垣間見える腕時計です。
デザイン的にとても味があって、着けることが楽しいと感じて頂ける特別さを持っています。
あえて伏せておきますが、機械のほうも特別なもので、ちょっと特殊な価値を持っているものになります。
そういった点で「この時計自体を気に入って頂ける方」のみにお勧めしたいもので、似ているデザインであれば、他の時計を選んでもらうほうがお得感はあります。
状態
引き通しのバンドが使われていたのだと思いますが、その影響からのものかと思いますが、ケースの裏に軽い窪みがあります。
ただそれらを差し引いても、状態の良いものだと言えます。
希少性
この時計また機械の特殊性もあって、珍しい・手に入りにくい1点になっています。
贈り物
どれを見ても似通った腕時計が多くなった、楽しめなくなったという方にお勧めしたい1点。
時計のデザインとして、着けた雰囲気にしても、見せたくなる時計ということでもそうですが、手に取ると自分用にしてしまいたくなるような魅力たっぷりの1点です。
備考
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