グリュエンならではの美学が光る
アンティークの特に腕時計では、その名を知られた「グリュエン」。
腕時計のケース自体が、腕にフィットするような形をした「カーベックス」というスタイルの時計を生み出したことで、特に知られているメーカーです。
グリュエンの腕時計、特に時計の「形」に対するこだわりはすさまじく、他メーカーが絶対に出さないようなスタイルでさえ、とにかくその傑出したセンスで様々な腕時計を生み出した、まさに時計界の英雄と言える1社。
その形の一つひとつに思い入れがあるように、一味も二味も違った作りになっているのが大きな特徴です。
色に形にこだわり尽くした1点
写真をご覧いただくだけで、この時計の形・デザインの素晴らしさが伝わるはず。
初めてグリュエンをご覧いただいた方にとっては、このデザイン自体がとても衝撃的に伝わるのではないでしょうか。
でもこのような形の腕時計ですら、グリュエンらしさが良く出ていると言える、これがグリュエンの「らしさ」。
これでなければグリュエンではない、時計に対するこだわりがこれでもかというほどに伝わる、まさに現代から見れば「作品」という1点。
当時の流行でもあった「樽型」そしてカーブを取り入れたデザインの腕時計、ここまでなら良くある作りと言えるでしょう。
でもそれだけで終わらないのがグリュエン。
腕時計の上下のベルトを留める部分、ラグと呼ばれる部分になりますが、本来なら時計本体から足のように伸びている部分です。
実用として変えることができない、そう思われていたことこそ盲点で、ラグを完全に1つのデザイン物として時計に組み込んでしまった。
「バンドを留める部品」という固定概念から、「時計を装飾する一部」であると高らかに謳ったのがこの1点。
文字盤のデザインそしてケースのローズ色の色合いの美しさもさることながら、時計自体の形そして風防(ガラス)の形までも変えてしまう。
時計本体としても薄型で、こだわりにこだわりを尽くして、それを形にした時計といえる作りを持っています。
実際に身に着けてみると、時計両端のラグの装飾が時計本体以上の存在感を示し、その色合いとも相まって、ファッションとしての腕時計のスタイルを先取りしたような作りになっています。
店主のワンポイントと評価
総合評価
40年代の時計デザインが大きく変わった時代のものですが、ここまで特殊なものとなると、本当にグリュエンの独壇場。
その当時のことを考えると、このようなデザイン自体が傑出した特別品。
その時代でこそ、それだけのものでしたので、現代から見ると、他に類を見ないファッション性の高い腕時計だと言えるでしょう。
腕時計をさらにアンティークとして楽しむなら、ここまで抜けた1点というのは、着けて魅せるに値する1点です。
状態
若干文字盤に経年変化は出ていますが、ごくわずかなものでとても状態の良いものです。
希少性
特殊なデザインの時計を輩出したグリュエンの中にあっても、デザイン的に傑出した1点で数の少ないものです。
贈り物
アンティーク時計の中でも、特徴と個性という点では、群を抜いた特徴あるもの。
贈り物としても非常にお勧めできるものですが、身に着けていただくという点においては、かなり好みのわかれるものです。
備考
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