時計のすべてが繋がれた歴史であり個性
腕時計という形において、時計本体は言うに及ばず、バンドも合わせて全てアンティークという特別さ。
一番特徴的であるのは、やはり腕時計のそのケースの形で、縦長の八角形といった形で、表側の上下には縦長のサファイアとその間にダイヤモンド。
ケースの表側はもちろん、表側の外回りの細やかな装飾に、そして側面にも装飾が施されていて、リューズ自体も青い宝石同様の青色のもの。
文字盤に目をやると、これも1920年代の特徴ですが、盤面に装飾が施されていて、そのデザインは後年の時計と比べても明らかな違いがあるのがお分かり頂けます。
そしてもう1つ大きな違いは、時計に合わせられているそのバンド。
これも昔の特徴的なバンドで、ワイヤーラグ用の時計に合わせるもので、取り外しもできるという気の利いたもの。
時計のサファイアとデザイン的に合う形で、バンド側にも同様のデザインが施されています。
バンド自体のデザインが非常に細やかで繊細で、時計自体の繊細さにも負けない、それに合った装飾でもあり、バンドと時計が一体としてとても魅力のある1本になっています。
年代物という美しさ
この時計も当店が扱う100年もののアンティークの1つ。
単に腕時計とは言っても、その時代ごとに違ったスタイルや作りがあって、それぞれの時代の特徴があって楽しいもの。
この腕時計について語れば、腕時計としては初期のものですが、紳士物と婦人物で大きく時計のデザインが分かれ始めた時代。
次第に男女でそれぞれの形・特徴が大きく広がっていき、やがて生産性という面で似通った形になっていきますが、そういったことが考慮されずに作られていたからこその面白さがあります。
この時代ならではの「できる限り」を時計に詰め込んでいる、そういったこの時代での努力が見えるのがこの時計の良さ。
まさに「個性の塊」といった作りで、できる限りを尽くしているといった姿に共感して頂ける1点かと思います。
多様性という時代にあっては、こういった時計を楽しんで頂くのも、1つの大人の楽しみ方といえるでしょう。
店主のワンポイントと評価
総合評価
モダンでないところ、現代的でないところが美しい腕時計。
百貨店で良く見るような当たり前の腕時計、そんな時計では着ける魅力がない。
そんな方にぜひお勧めしたいのが、こういったその当時の「一生懸命」が見える腕時計。
どうやって作られたんだろう?どうやってデザインされたんだろうと、時代の違いから見ても、傑出したものが伝わるものかと思います。
宝石を鏤めそしてジュエリー加工の技も詰め込んだ、こだわりが伝わる1本です。
状態
写真でご覧いただけますが、着けると見えない部分ですが、ケースの裏側に軽い凹凸があります。
実物では写真のようには目立ちませんが、わかりやすく目立つように撮っています。
バンド側とリューズ部分の青い箇所は宝石ではありません。
希少性
時計自体の形としても珍しいものですが、バンドも合わせると珍しく、非常に貴重なものです。
贈り物
金時計に細やかな装飾が時計からバンドまで全体に広がる、贈り物としても非常にお勧めしたい1点ですが、好みが大きく分かれるものではあります。
備考