英国の名のある風格漂う金時計
時代の変革期、日本の著名な人士が学んだ欧州・英国。
日本では新しい時代、まさに「昭和」の始まり。そんな時代に作られた風格ある金時計。
戦後復興の立役者である、白洲次郎が若き頃に学んだ英国、その英国時計として好んで使ったことで知られるのが、このJ.W.BENSONの文字で知られるベンソンの懐中時計です。
この懐中時計が作られたのは、時代的には、懐中時計から腕時計に移り変わり始める頃になりますが、そういった時代の移り変わりをものともしないように、懐中時計の基本に忠実に、そしてまさしく質実剛健といった作りを見せています。
懐中時計の全盛期である1900年代の始まり、そんな時代の作りをただそのまま忠実に、その良さを伝えるかのように、その時代の趣きが伝わる外観。
重厚という言葉がぴったりの、しっかりとした厚みのある、重みと存在感をたっぷりと感じる、手にもしっくりとくる大きさ。
進んでしまった時代に合わせることなく、素材を変えることなくそして軽量化を図るということでもない。
その芯の通った作りに、心をぐっとわしづかみにされるような感覚を覚えていただけるかもしれません。
定番の懐中時計というスタイルでありながら、どこか違いを感じる、惹かれるような魅力があるのもまた、ベンソンならではと言えるところでしょう。
英国王室御用達という肩書
この時計よりもさらに古い年代の懐中時計にみえる、「英国王室御用達」の彫り。
その肩書を受けることによってのこだわりが、時計の作りにも伝わっているかのよう。
ただ単なる「金時計」というだけではなく、メーカーとしての矜持が見えるような雰囲気ある懐中時計です。
白く抜ける艶のある文字盤に踊る、ベンソンの名前と「ロンドン」という文字。
ベンソンの晩年になっても、腕時計の時代になっても、機械やケースにENGLANDやLONDONという文字を入れることからもお分かりいただける通り、ベンソンの創業の地である英国・ロンドンへのこだわりが伝わります。
店主のワンポイントと評価
総合評価
ベンソンの懐中時計には、その外観にぐっとくるような魅力があります。
時代的には、懐中時計から腕時計へと変わる変革期に当たりますが、それでも長く続いた懐中時計の時代、そしてそれを良しとして身に着けていた紳士には、やはりこのベンソンのように、力強い風格と品格を漂わせる懐中時計がその手にあるべきだったものなのでしょう。
外観的に写真にしてしまうと、シンプルなように見えるかもしれませんが、それこそが基本に忠実という大切な要素。
当時の英国紳士に似合う懐中時計のスタイルであったのでしょう。
時計の顔といえる、ローマ数字が並ぶ文字盤にも風格があり、短針はその先端部分が2つ連なったような形になっています。
このような短針の作りは、ごくわずかな時代だけに見られるものですが、変えない部分は変えず、そこに1つの魅力を投じる・変わらない魅力をさらに引き立てる要素になっています。
状態
ケースの裏側に写真でご覧いただけますが、小さな程度の軽い窪みは見られます。
磨いて均すこともできますが、非常に軽度のもので金を削ることになりますので、あえてそのままにしています。
この部分の均し・磨きをご希望のお客様は、ご注文の際にお伝えください。
全体的に非常に状態の良いものです。
希少性
近年改めて人気になっているメーカーでもあり、数の少ない金無垢時計です。
贈り物
全体的に非常に状態の良いものであり、知る人ぞ知るというメーカーではありますが、その名前の響きもまた良いものです。
ベンソンの当時のケースも残っていて、アンティークとしての古さ、その価値が伝わる贈り物としてお勧めです。
備考