チェーンの種類と留め方
アルバート・ダブルアルバートチェーンの種類の解説、クリップや留め金の懐中時計への留め方のご紹介。
懐中時計のチェーンの種類・金具の留め方をご紹介
懐中時計チェーンの種類と、服と時計とのつなぎ方はお分かりですか?
このページでは、アルバートチェーンなどの呼称の違い、それぞれの種類によってのチェーンの形の違いや、金具別の繋ぎ方や役割りなどをご説明しています。
チェーンの定番の2つの形
懐中時計のチェーンには、色々な種類がありますが、知っておきたいのはこの2つの定番のスタイル。
そのチェーンの形の違いから、「アルバートチェーン」または「ダブルアルバートチェーン」と呼ばれています。
懐中時計のチェーンをお探しになられていると、このような名前をご覧になられたことがあるかもしれません。
定番と呼ばれるだけに、このような形になっているものが多く、その着け方も下記の例をご覧頂くと、すぐに応用して頂けるかと思います。
アルバートチェーンと呼ばれる形
アルバートチェーンの定義は、懐中時計のチェーンに吊り下げられている、「付属の飾り」があること。
下記の写真のように、懐中時計を留めたチェーンの端はポケットの中に、ベスト前に留めた部分から短いチェーンが下に伸びて「飾り」が繋げられています。
このような作りになったチェーンを、「アルバートチェーン」と呼びます。
【 アルバートチェーンに着けられる飾りの例 】
ダブルアルバートチェーンとの違いは?
アルバートチェーンとともに、よく名前が挙がるのは「ダブルアルバート」。
アルバートチェーンとダブルアルバートチェーンの違いは、チェーンが二股になっていること。
ベスト前に留めると、中央に飾りが吊るされて、二股のチェーンが両ポケットに入るという形になっています。
アルバートチェーンが比較的シンプルな見た目になるのに比べて、ダブルアルバートは中央に飾りがあって、チェーン2本が両ポケットに伸びていきますので、非常に存在感のある見た目になります。
アルバートチェーンの名前の由来
このアルバートチェーンの「アルバート」という名前は、初代ビクトリア女王の夫である王配アルバート(エドワード7世の父)にちなんで付けられた名前です。
王配アルバートの薨去は1861年と、懐中時計が一般に広く使われるようになった時代よりも年代的には少し早めです。
しかしながらビクトリア女王と一緒に写っている写真等でも、すでにその頃から懐中時計が着けられていたことがわかります。
基本的なチェーンの身に着け方
チェーンの片側にクリップ・もう片側にT字バーのあるもの
T字バーを、ベストもしくは上着のボタン穴に通してください。
そしてクリップなど留め具がある側を、懐中時計のリングに掛けて、時計をポケットに仕舞います。
チェーンの両端がクリップもしくは輪になっているもの
一方の輪や留め具を、ベストもしくは上着のボタンの縫い留めてある紐の部分に掛けます。
そしてもう一方の輪や留め具は、懐中時計のリングに掛け、服のポケットに時計を仕舞います。
片側がクリップになっている場合や両側がクリップになっているものなど、必ずしも決まりがあるわけではなく、チェーンそれぞれによって違いますので、好みによって好きなように付けていただくと良いでしょう。
基本的には、クリップのようになっている側を懐中時計のリングに合わせていただくほうが、取り外しはしやすいはずです。
昔の実際に身に着けた写真はこちらのページへ
昔の写真を見るお葬式など弔事でのチェーンの着け方
記事と写真を見る基本的なチェーンの種類
最も定番の形1本もの・アルバート
チェーンという言葉を聞いて、一番わかりやすい形、想像しやすい形をしているもので、チェーンの中では最も定番のスタイルです。
「1本もの」になっている一直線のチェーンは、チェーンの一方の端に懐中時計を留め、もう一方をボタンホールに掛けたりして固定します。
ほぼ同じ形で、片側の先端付近が二股に分かれているもの・先割れになっているものも定番で、二股になっている場合は、一方に飾りを取り付け、もう一方をボタンホール等で固定します。
この写真のように、ベルトを通すループ部分にチェーンを取り付けると、ズボン・ジーンズにも取り付けて頂けます。
金具によっては固定できるものもあれば、そうでなければ、ズボンのループ部分にぐるっと巻き付けると、落ちるという心配は無くなります。
2又・ダブルアルバートタイプ
中心から左右に長い2本のチェーンが伸び、中央に非常に短いチェーンが2本付いているものもあります。
このタイプのものは、中央の短いチェーンの一方をベストなどのボタンホールに、そしてもう一方の短いチェーンには飾りを取り付けるようになっています。
左右の両側に伸びるチェーンには、片側には懐中時計を、そしてもう片側にはお好きなもの・よく使うものなどを取り付けます。
当時もありましたが、家の鍵であったり、現代であればUSBスティックを取り付けて頂いたりというのも良いでしょう。
この形で選んでいただくなら、好みでお選びいただくのが良いでしょう。
一本ものの飾りを取り付けられないタイプであれば、シンプルで使い勝手は良いのですが、のちのち飾りを付けたいときには少し加工が必要になります。
チェーンのデザインなどによって印象は変わりますので一概には言えませんが、一本ものの先割れタイプと、左右に伸ばして着けていただくタイプでは、一本もののほうは格好良さ、両側に伸びるチェーンは落ち着きと上品さが感じられる印象になるのが一般的です。
いろいろと小物を取り付けて楽しみたい、魅せるための飾りと、そしてポケットに仕舞っておきたい実用的な小物があるようでしたら、左右に伸びるタイプがお勧めです。
徽章型・装飾タイプ
このタイプのチェーンは、ものによっては非常に手が込んでいるもので、繊細なものはまさに職人技。
細工やデザインが優れていて、作られた年代も1800年代から1900年代の前半までがほとんどで、歴史的・芸術的価値も高いものです。
上部の裏側にあるクリップでポケット等に留め、装飾面のある側を前に垂らし、裏側の細いチェーンに懐中時計を取り付けます。
勲章とは違いますので、見た目で階級や叙勲を表す面はありませんが、装飾性が高いことや見た目が豪華なため、そのものを「しっかりと見せる」ように付けていただいたり、書斎に飾ったりといった鑑賞目的にも向いています。
※『徽章・装飾チェーン』という言葉は当店の考えた造語です。
英語から日本語に直す時に良い言葉が見つからなかったので、この言葉を作りました。
他のサイトで同じ言葉が使われている場合は、当店の言葉のコピーです。
短い革タイプ
短い革で作られていて、レトロな飾りが付いているタイプ。
構造や見た目としては、ズボンのベルトのミニチュア版のような形です。
取り付けられている飾りはどれもシンプルで、アンティークというよりは「レトロ」。
当時の広告目的で、会社や商品にまつわるものが良く見られます。
取り付け方としては、ベルトのバックルのような部分から、ズボンのベルトと同じ要領で外し、懐中時計の吊り下げる部分に通して留め直します。
懐中時計を取り付けたら、懐中時計はポケットに入れ、革バンドと飾りの部分をポケットから外に出すだけです。
そのため、このタイプには懐中時計の「落下防止」という効果は無く、外に出ている部分を見せる、ポケットから取り出すときに引っ張れる、手に持っている時に落ちにくくなるという、補助的な効果しかありません。
ベストやシャツのポケットに留めると説明されているものもありますが、ポケットに入れて革の部分を外に出すと、ベストやシャツのポケットの口が曲がってだらしない感じになってしまいます。
このタイプには、生地が厚いジーンズを合わせて頂くのがお勧めです。
ズボンのベルト用
ズボンのベルトに通すことを目的に作られたチェーンで、ベルトが通せるようになっています。
ベルトを上部の装飾などが施されている部分に通し、留め具に繋がれたチェーンを懐中時計につないでポケットに入れて使用するタイプです。
長さはベルトからポケットまで届く程度の長さ、チェーン部分で15センチ前後が必要です。
作られた年代が古く、当時のベルトのサイズに合わせて作られているため、ベルトが通せる「厚みと幅」のどちらともが薄く、現代の主流であるしっかりと厚みがあり幅のあるベルトは通らなくなっていますので、ご購入の際に必ずサイズの確認を行ってください。
昔のものですので、当時のベルトのサイズは現代とはまったく違います。
金属の穴の中にベルトを通しますので、ベルトを通す・抜く際にベルトの表面に傷が付きやすいという点で、現代では少し使いづらいところです。
特に本革や合成皮革等、表面に傷が付きやすいベルトは避けたほうが無難です。
ボタン用
ベルト用のチェーンに良く似ている形で、先端に付いたボタン状の飾りをボタンホールに通して固定します。
スーツ・シャツ・ジャケットなど、ボタンホールのあるものなら簡単に通して使えます。
チェーン自体の長さは短めで、チェーン自体に装飾もあまり入っていないシンプルなものが多くなっています。
ブローチ型
女性用に作られていたもので、単体でもブローチとして使うことができます。
ブローチと違う点は、裏側に懐中時計のリングを掛ける部分があることで、ブローチの下に懐中時計を下げ「1つのセット」になります。
サイズとしては小さなものが多く、おおむね3センチ程度が主流です。
ネックレス型
こちらも女性用に作られていたもので、非常に長いチェーンの先端に、懐中時計を留めるためのクリップが付いています。
一般的なネックレスと比べて、非常に長いものが多いのが特徴です。
長いものであれば、首にかけると懐中時計がおへそのあたりまで届くものまであり、首からそのままポケットに仕舞えるほどの長さのあるものもあります。
長すぎる場合は二重にして、首に掛けて頂くのもお勧めです。
昔の写真に見るネックレスやブローチとして身に着ける女性の実例
当時、高価でかつ特別であった懐中時計は、女性のネックレスやブローチとしても利用されていました。
1900年前後のことで、特に女性の服装は現代とは大きく変わっていますので、このような使い方もされていたという参考までにご覧ください。
チェーンを留めるクリップや留め金の種類を知る
アンティークチェーンには、いくつか定番の金具や留め具が付いています。
懐中時計にそのまま繋いでいただくものもあれば、ボタンホールやボタンに掛けていただけるものもあります。
取り付けのサンプルや応用を知っていただくだけで、いろいろな着け方をしていただけるものです。
どれもクリップのように留めていただくだけですので、難しいことは何もありません。
留め方や着け方にとらわれて考えるよりも、直感的に使っていただくのが一番正しい使い方になるはずです。
上記の写真にある3種類の金具が、アンティークのチェーンでは最も定番のものです。
大きさや素材の違い、制作された年代や場所によって若干作りにも違いはありますが、使い方としてはほぼどれも同じようなものです。
金具別の留め方と応用
定番のクリップ型
留め具としては一番定番の金具で、簡易なクリップ状になっていますので、いろいろな箇所に取り付けることができます。
金具自体の大きさとしては、約2センチ~3センチ程度です。
基本的には、このクリップを懐中時計のリングに掛けます。
定番のリング型をベルトループなどに留める
輪・リング状になった定番の留め具で、金具の一部が開くようになっています。
懐中時計のリングに取り付けることもできますが、サイズが小さいと開く幅も狭く、取り付けや取り外しの際の開け閉めが少し面倒です。
小さなリングの場合は、留め具自体を直接何かに取り付けることはサイズ的に難しくなっていますので、ベルトループ(ズボンのベルトを通す輪)やバックの紐などにチェーンを1周回していただいて、チェーンで輪を作るような形で留めていただくと、いろいろと応用が利きます。
大きなリングの場合は、いろいろな方法でお使いいただけます。
十分な大きさがあるものであれば、コートやベストのボタン裏に、リングを掛けるのも1つの着け方です。
T字バーをボタンホールに通して留める
T字型をしたバーも留め具の定番の1つです。
写真のように、ボタンホールに通して固定します。
考え方次第で少し応用も利くもので、ベルトループなどバーが通るサイズの穴で、バーを横にすることで抜けないものであれば、ボタンホール以外に通してご利用いただくのも1つのアイデアです。
T字バーがボタンホール通らない時は
T字バーは通常ボタンホールよりも幅が長く、バーを横にしたままでは通りません。
まずはT字バーと短いチェーンを一直線するようにして、ボタンホールへ通していきます。
コツは、ボタンホールに入った時点では、まだT字バーを横にしないこと。
T字バーが完全にボタンホールを抜けきってから、T字バーを横にすると簡単に留めることができます。
吊り下げる勲章のような形のもの
作られた年代が古いもので、まるで勲章のように吊り下げていただくものです。
勲章のような作りの上部が留め具になっていて、その裏側がクリップのようになっています。
服やズボンなどの生地を挟んでから、留め具の裏側のバーを上げ下げすることによって、生地を挟み込んで固定します。
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