時代を超えた逸品
今も受け継がれる、高級時計の代名詞ともなったスイス時計の雄「オメガ」。
スイスの地に聳え立つ広大なオメガの拠点、そして併設された博物館は、このブランドが現在も愛され続けていることの証。
ただ他の時計メーカーと同じように、次々と発表される新作ですが、年々個性的な時計が少なくなっているのは、オメガを愛用されている方にとっては、ちょっと物足りないものでもあるかもしれません。
そんな想いを持たれている方はもちろん、オメガやロレックスを着けてもいいけれど、あまりに知名度がありすぎて、他の人と同じ時計をしているなんていうことは避けたい、時計を着けるなら特別かつ最高の1点をという方には、こんなアンティーク時計をぜひお勧めいたします。
この時計が作られたのは、1914年から1918年まで続けられた第一次世界大戦のまさにまっただ中。
西欧を中心に全てを巻き込んだ激動の時代で、大きな時代のうねりは、時計業界すらも巻き込んで、時計の形すらも変えていきます。
戦時の求めに追い立てられるように、それまでの中心だった懐中時計は、さらに携帯性の高い腕時計へ。
そして暗闇でも見えるように蛍光が施されるようになり、時計が光らないように、黒いケースなどが生み出されていくことになり、「軍用時計」という形が少しづつ確立されていくことになります。
この時計もそのような中で生まれたもので、当店で保管する1916年のオメガの広告には、この時計と同じ時計が掲載され、兵士が腕で時計を確認しているという広告の実物があります。
軍用時計のマーク等が入っていないものになりますので、確実に軍用品・ミリタリー支給品だと断言することはできませんが、そのような用途で使われたものだと推測されます。(ご購入者の方には、この広告の実物をお付けします)
時計の特徴としては、まだまだ当時としては、懐中時計が全盛という時代のもので、腕時計としては初期ともいえる時代のものです。
当時の時計の作りを継承して腕時計を生み出したという、その原点がしっかりと見えるのがこの時計の味で、銀無垢の味のあるケースに、陶製の文字盤、また特徴ある針と塗料が施されているのが大きな特徴。
「時計で時間を見る」ということに主眼が置かれていることもわかる作りで、視認性の高いアラビア数字が用いられ、それぞれの数字もしっかりと大きな味のあるデザイン。
銀特有の品のある色合いということもありますが、やはり特筆すべきは文字盤を含んだ全体の作りと雰囲気。
風格と品、そして力強くその個性が伝わる時計で、時計のデザインや作りを堪能できるという味のあるものです。
現代になってこのようなデザインの時計が復刻版として出される、また似たようなデザインがミリタリー時計として出されることがありますが、この軍用時計・ミリタリー時計というジャンルのデザインが、この時代には完成されていた。言い換えれば、この時代の時計を復刻しているということを鑑みるに、昔の時計のデザインが、どれほど完成されたものであったのかということに、感心させられずにはいられません。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計から伝わる雰囲気があるといいますが、この時計には持つだけで「伝わるもの」があります。
この時代ならではの作りというのはもちろんありますが、100年という昔にここまでの作りがされていたのかと。
どれかのバランスが崩れても「均整」は取れないものですが、この時計については、一つしっかりとした芯を持って、時計としてデザイン的にも均整が取れ完成されたもの。
オメガというその名を冠した特別な時計であることや時代背景、それらも相まって、時計に重厚な重みと魅力を与えてくれています。
どなたにでもお勧めできるものではありませんが、特別な時計、最高の相棒というような時計をお探しの方にとっては、ぐっと力強く惹きつけられるものがあります。
状態
ケースの裏側には少し軽いくぼみが2箇所ほどありますが、全体的な状態が良いことからも、気にしていただくような程度のものではありません。
状態の評価としては少し下げるべきであるかもしれませんが、この時計でこの状態であれば、この評価をさせていただくべきと考えます。
希少性
入荷しない物ではありませんが、状態面や作りを考えると、本当に希少な1点です。
贈り物
非常に状態の良いものでもあり、デザイン的にも、この時計で一つの形として完成されているといえるものです。
贈り物として喜んでいただけないはずはありませんが、この価値を正確にそして最高に感じていただける方は、お選びいただくお客様ご本人であるはずです。
贈り物としてよりも、ご自身でお使いいただく時計としてお勧めしたいものです。
備考
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