繊細かつ美術的、アンティークの魅力が光る
この懐中時計のケースに施された図柄を見ると、どことなく和風なイメージを受けませんか?
黒と金で見事に描かれた小鳥の絵。
親しみを感じていただけるのは、きっと日本人に馴染みの深い、黒い漆に施された金の模様が美しい、日本の蒔絵の作りに似ているからかもしれません。
これが西洋の懐中時計でなければ、黒漆の器に描かれていたなら、日本の伝統工芸としても遜色を感じさせなかったものでしょう。
職人によって受け継がれる、いにしえの伝統的な技。
時間と手間暇をしっかりとかけて、こだわって仕上げていくという仕事の有り方。
100年の昔という時代、こういった概念には、日本や西洋という垣根が無かったといえるでしょう。
この商品は、職人技が凝らされた金時計と、これまた芸術品のような繊細さを持つ、髪の毛で編まれた紐がセットになっている1点もの。
良い仕事に時間とお金を掛けることができ、さらにそれに応えることができた時代ならではの、研鑽された技術と創造力の賜物です。
金時計の作りの素晴らしさについては、言及するまでも無いものでしょう。
細やかな彫りや繊細な模様はもちろんのこと、そこに伝統的な美術工芸品でも見るかのような、素晴らしい小鳥の模様が施されているのが大きな大きな特徴。
彫りと平面的な絵を組み合わせることで、鳥のその姿を立体的にさらに生き生きと、絵画と彫刻の二面性を持った美術品のように見せています。
また裏側にもアンティークならではの模様が、同様の手法で描かれていて、デザイン的に統一感あり、そしてとても雰囲気の良いもの。
ケースの表面そして裏面はもちろんのこと、側面にもびっしりと連綿と続く模様が施されているところも、時計全体に抜かりの無い素晴らしい作りです。
文字盤についてもケースの素晴らしさに負けないように、珍しい淡い桜色を基調に、非常に繊細な金彩模様が施されていて、針も豪華なこの時代ならではのものです。
ケース自体にしっかりとした厚みがあり、こういった点は、デザイン的な面や外観だけに留まらず、しっかりと作りこまれたことが良くわかるところでもあります。
さらにこの懐中時計に合わせられている紐は、これまたこの時代ならではのものであり、希少かつ趣きのある作り。
懐中時計に施された黒いエナメル模様と同様の作りを持つものでもあり、作りという意味では時計との統一感があります。
この紐の作りの繊細さについては、これこそ写真で全てが伝わるものでしょう。
女性の方や女の子のお子様をお持ちの方であれば、子供の髪を三つ編みにするだけでも、どれほど大変なものか良くご存じのはず。
この紐のように、たった8ミリという幅の中に何重にも編み込まれた髪をご覧いただくと、このように作り上げることは、職人、達人の域に達していると感じていただけるものでしょう。
両端と中央に合わせられている金具の部分にもしっかりとした個性と特徴があり、これもまたアンティークならではのもの。
中央の丸い金の飾りには、片面には高貴な女性の絵と、そしてその反対側には以前の持ち主の方のお子様なのでしょう、小さな子供写真が封入されています。
T字のバーの作りも特別なものですが、反対側のフックの部分も、写真ではお分かりいただきにくいものながら、現代のようなクリップの作りではなく、フックの根本にあるネジのような部品をクルクルと回して、フックがやっと外せるという、昔のそのまた昔の作りというもので、これ自体も特別な作りです。
髪の毛という素材から、色や雰囲気がとても面白いもので、明るいところでは金茶という色合いのようにも見え、暗がりでは焦げ茶色に見える。
自然な風合いとそこから伝わる特別さ。金の鎖のように金属性の鎖を合わせるのも良いのですが、ここまで特別な時計であれば、このような特別な作りのものが非常に良く映えます。
作りもデザインも雰囲気も良い、アンティーク時計に憧れすら感じさせてくれる作りの時計と紐のセットです。
どこにでもある時計ではなく、特別さを求めたい方にお勧めしたい、伝わる雰囲気までも特別な1点ものです。
店主のワンポイントと評価(懐中時計)
総合評価
同じ金時計を比べて見ても、やはりその作りや素材の厚みなどにも違いがはっきりと表れます。
この時計については、デザイン的なこと、作りにしても素材にしても、扱う側からしても納得のいく1点。
特にケースに施されている模様と技術の素晴らしさにおいては傑出したもので、その繊細な作りには感動してしまいます。
黒と金というコントラストも面白いものですが、和的な雰囲気もあり、ご覧いただくと心に響くものがあるのではないでしょうか。
髪の毛の紐が太めで、もう少し細ければと感じられるかもしれませんが、細い紐だと、紐の編み込みや飾りの作りも少し弱い印象になってしまいます。
太めの紐が合わせられてはいますが、懐中時計の存在感が非常にしっかりとしたものですので、このくらいしっかりとした紐のほうがデザイン的には似合います。
懐中時計の豪華さ、紐の作りの良さ、どちらともをしっかりと味わうという意味合いでは、良い組み合わせだと言えるでしょう。
状態
小鳥が描かれている外側にある黒い円の線ですが、右上の部分に1センチほどの長さで消えている部分があります。
ただ年代的なことや素材のこと、使われていたアンティーク品であることを考えると、これ以上望むことができないほど素晴らしい状態であるといえるものです。
希少性
すべてが特別なもので、非常に希少な時計です。
贈り物
和風にも見え、かつ洋風にも見える。でもその根本にあるのは、芸術作品であるということ。
時計という時間を見る機能的な「道具」でありながら、芸術作品のように昇華されたものというのは非常に少ないものです。
贈り物としても、ここまでの特別なものは無いでしょう。
備考
–
店主のワンポイントと評価(髪の毛の紐)
総合評価
同系の作りの品を比べてみても、このような装飾部分が綺麗な作りのものはあまりありません。
非常にしっかりとした特徴のあるものであり、アンティークという言葉に求めるものを、しっかりと満たしてくれる作りです。
状態
写真で少しご確認いただけますが、少し髪の毛が立つ部分がみられます。
編みはまだまだしっかりとしたもので締まっていますので、素材的なことや年代的なことを考えれば、非常に良い状態のものです。
希少性
髪の毛の紐という素材から、状態の良いものが少ないことはもちろんのことながら、このように飾りの部分もアンティークらしい作りを持つもので、かつその作りが良いものとなると、非常に希少で数があまりありません。
贈り物
作りの良さが際立ちます。
手に取った時に、この細やかな編みをご覧いただくと、アンティークであるその価値を、肌身で感じていただけるほどの作りです。
備考
丸い飾りに封入されている写真は、蓋が開く作りではありませんので交換することはできません。
あくまでご希望であればということになりますが、ガラスを割り枠を広げて交換することはできますが、再度同じように綺麗に封入することはできませんので、ガラス部分が厚くなったり、飛び出てしまう等、不格好になってしまいます。
ご不要ということであれば、基本的には別の飾りをお取り寄せする形で対応をさせていただきます。