時計をみて「時刻」を見ないという究極の楽しみ方
当店も様々なアンティーク時計をご紹介していますが、究極のところは、「時刻を見ない」時計というのが一番面白いのではないかと思っています。
時計を着けられる方自体は減りながらも、やはり着けないと落ち着かないというのが時計の魅力。
しかしながら、現代は常時スマートフォンを触り続けている、現在の時間も見えてしまうのが実情です。
アンティーク時計は、そんな現状の中、アナログに立ち戻る、個性や楽しみという面を満たしてくれる特別な存在になりつつあります。
時計がそういった使われ方をしてくると、当店がちょっと違った楽しみを提案したいのは、「時刻を見ない」時計というもの。
それは、ある意味で時計の「ブレスレット化」ともいえるかもしれません。
美しく手元を彩るためのブレスレット、それが時計であっても良いと思われませんか?
この時計は、「時刻を見ない」でも楽しめる、腕元が渋く光るような1点。
時計の顔である文字盤が、そこはなとなく美しく、時計を見るだけでも満足してしまうような作り。
スマートフォンを操作しながら、ちらっと腕時計も眺めて見る。
ジャケットやシャツからちらっと見える、こんな魅力的な腕時計、時刻を見ますか?それとも時計を見ますか?
電車の中でも、わざと立って、吊革に掴まって腕時計を披露してしまいそうになること請け合いです。
アンティークの魅力が詰まった1本
腕時計として、その外観が特に優れた1点。
魅力的なのは、これは写真からも伝わるかもしれませんが、時計を見た時の清涼感のある外観の美しさ。
作りとしては豪華さがあるものの、それをうまく包み込むような上品さ。
文字盤に見える、美しい透けるような青い宝石、文字盤の金の装飾、金の針も非常に美しく、それらにぴったりとマッチするのが黒のローマ数字のインデックス。
白い文字盤が、それらの特徴をキリッと引き締めているのが写真からもお分かりいただけるかと思います。
時計自体のケースの作りとしても特別で、もともとは懐中時計であったものが、時代の流れで腕時計として再生されたもの。
リューズが右側にあり、少し長めのパイプが付いていて、吊るための輪が付いているのがその名残り。
裏蓋には植物の彫りも施されていて、時計を外して置いておいても楽しめる、しっかりと手の込んだ作り。
ケース素材である銀は、懐中時計時代・腕時計時代初期には使われなくなった素材ですが、それだけに時計素材としては現代では珍しく、その色味というのも楽しいものです。
店主のワンポイントと評価
総合評価
デザイン的にも色味としても、とても統一感・清涼感、そして上品さという点でも非常に優れた1点だと思います。
現代のいわゆる丸形で定番という形の腕時計、そんな当たり前とはまったく違う、個性と時計自体を楽しんで頂ける作りになっています。
ワイヤーラグという形状になりますが、バンドを巻き込んで留めるタイプで、合わせるバンドとしては少し幅が細めです。
男性の方が付けて頂くには細いので、オーダーメイドで取り付け部は細く、そしてそこから幅を広げるような形で作って頂くと、幅広のバンドで楽しむことも可能です。
考え方を変えると、これも個性ですので、あえて細めのバンドのまま楽しむというのもありかもしれません。
文字盤の青い宝石はサファイアと言われていますが、文字盤を割らなければ調べられない、また非常に小さなものであるため、宝石そのものとしては価値を調べるまでもないため、アンティークのミステリーとして楽しんでいただければと思います。
状態
文字盤の中央から秒針の60にかけて、短いヘアラインがありますが、目視ではほとんどわからない程度です。
マイナスポイントではなく、これはアンティークとして、その姿を楽しんで頂きたい部分です。
希少性
同じものとしてはなかなか入手が難しいものです。
贈り物
文字盤に軽いヘアラインはありますが、それを考慮してもとても素晴らしい腕時計だと思います。
贈り物にもぜひお勧めしたいものですが、実物を見ると、ご自身で使いたくなるほどの魅力があるものです。
備考