IWC/インターの歴史感じる懐中時計
スイスの高級時計メーカーとして、その一角に名前を刻むIWC/インターナショナルウォッチカンパニー。
誰もが知るメーカーではありませんが、時計が好きな方なら、きっとショーケースをご覧頂いたことがあるはず。
そんな現在でも知られる高級メーカーですが、創業自体が非常に古い1856年と、懐中時計時代の昔から、「機械・精度」に定評があり現在に至っています。
現代では、隙の無い完璧なフォルムの腕時計が売りで、それはお店でご覧頂いても、ホームページをご覧頂いても、綺麗・美しいという言葉が出る時計が並びます。
そんなインターも、それだけの長い歴史があるのは、「懐中時計」というその第一歩があったからこそ。
こちらでご覧頂く懐中時計は、そんな今から100年以上前の懐中時計。
インターの現代の腕時計を思い浮かべて頂きながら、この懐中時計をご覧頂くと、なるほどなるほどと頷いて頂けるのではないかと思います。
当時としては各メーカーが精度や機械に違いを見出していた時代のこと、デザイン的にはいかにもという懐中時計。
しかしながら、文字盤にケースに機械に見える、IWC/International Watch Co. SCHAFFHAUSENの銘。
刀剣そして美術品にも見られるように、時計にも見られるその銘も価値としてご覧頂ける、とても風格ある懐中時計かと思います。
銀と黒のニエロ装飾
IWCの懐中時計というだけでも、その希少性を感じて頂けるものですが、その中でもこの時計のような、特殊な技法が用いられたもの、さらに状態良く残っているものとなるとさらに希少で珍しい1点。
時計をご覧頂いて、一番に違いがわかるのは、やはりこの銀のケース。
黒い細い縦の縞模様が入っているわけですが、これはニエロ(黒金装飾)と呼ばれる技法。
現代で用いられることはほとんどなくなりましたが、アンティーク時代にはジュエリーにも使われていた手法で、非常に短い期間ながら懐中時計にも用いられていた時代がありました。
金銀の輝き、そして彫りや立体的な装飾以外の見せ方ができるこの技法。
それはまるで懐中時計の上に絵を書くような、そんな効果を見せますが、実はこのように見せるには、ケースの下地にも溝が掘ってあり、その上にこのニエロ装飾が施されているため、非常に手間のかかる作りになっています。
白色の艶のある文字盤に、この当時ならではの数字の書体、そして豪華な金色の針と、当時の大型懐中時計の定番としてのスタイルも持ち合わせ、さらにこれも時代ならではですが、時計の左肩をご覧頂くと、そこには小さなボタンが。
これはダボ押し・ボタン式と呼ばれるものですが、このボタンを押し込みながらリューズを回すことで、長針と短針が動くようになり、時刻を合わせられる作りになっています。
作り手のしっかりとしたひと手間がかけられた時計であり、使う側もちょっとした手間をかけることのできる、贅沢な懐中時計だといえるでしょう。
店主のワンポイントと評価
総合評価
IWCの時計好きな方や、高級メーカーでありながらも、ちょっと違ったところを所有してみたいという方にお勧め。
懐中時計時代の1作ですので、もちろん現代の時計とはまったく違い、その外観だけでもとても楽しい1点であることは間違いなし。
しかしながら、ロレックスなどの人気すぎるメーカーではなく、時計にこだわりのあるメーカーとして、お持ちの懐中時計としてIWCの名前を挙げて頂くのも楽しいものだと思います。
写真では掲載していませんが、当時の懐中時計としても、機械自体が非常に良い作りで、IWCの名前を高めた理由がお分かりいただける部分かと思います。
状態
ニエロ装飾が施された面は、色味やデザインが非常に独特で、素晴らしい美しさを表現できる反面、若干、破損が起こりやすい美術品・芸術品のような一面を持ちますので、同型のものでも、ここまで綺麗な状態のものというのは、あまり見る機会が無いものになっていきます。
100年以上経っているものですので、経年変化や小さな傷等はもちろんありますが、全体的にとても良い状態です。
希少性
作られた時代が限られ、作られた数自体も少ないものです。
贈り物
定番の懐中時計なら、もしかしたら誰かがお持ちかもしれません。
でもこんな模様の入った懐中時計が、実は特殊な装飾であったとしたら、そしてIWCでも100年物であったなら。
贈り物に意味を持たせることのできる、特別な贈り物になる1点かと思います。
備考
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