鍵巻き式の使い方


小さな鍵のような部品を使い、ぜんまいを巻き上げ時刻を合わせます。

少し特殊な使い方の鍵巻き式時計

鍵巻き式は懐中時計や置時計などに見られるタイプの、年代的には少し古い1900年以前の時計に見られる作りです。
鍵巻き式の名前の通り、巻き上げや時刻合わせの操作に小さな「鍵状の道具」が必要になります。
主だった外観の特徴としては、ぜんまいは鍵で巻き上げるため、リューズが無いもしくはリューズのような形はあっても巻くことはできません。

 

 

裏蓋を開いて巻き上げと時刻合わせの方法を確認する

時刻合わせの方法は時計によって2種類あり、裏蓋の内側にある鍵穴から時刻を合わせるもの、もしくは文字盤側から針の留め部分に鍵を差し込んで時刻を合わせるものがあります。
巻き上げは必ず裏蓋の内側にありますので、裏蓋を開いて内側を確認します。
裏蓋は、文字盤がある側を通常「表」としますので、文字盤とは反対側の蓋です。

 

頭の部分にボタンがある場合

ボタンを押して裏蓋を開く

本来ならリューズのある部分ですが、その部分の先端に写真のようなボタンがある場合は、このボタンを押し込んでください。
押し込むと裏蓋が開きます。
ただ鍵巻き式の時計は年代が古いため、ボタン部分もしくは噛み合わせ部分が悪く、開きにくいことがあります。
ボタンを押しても蓋が開かない場合は、ボタンを押し込んだまま、裏蓋に手を添えて少し力を入れて開いてください。

 

ボタンが無い場合

ボタンが無い時は手で開く

この写真のようにボタンが無い場合は、裏蓋は手で開きます。
裏蓋を良く見てみると、少しだけ指が掛けられるような形になっている部分があります。
この部分に指をかけて、力を加えながらゆっくりと開いてください。
ボタンが無いタイプの時計は、噛み合わせだけで閉まっていること、また操作のたびに毎回開く部分であるため、閉まり自体が緩くなっていて開きやすくなっていますので、あまり力をかける必要はないはずです。

 

裏蓋が開いたら穴の数を確認

穴のある位置は時計によって違いますが、裏蓋を開くと下記の写真のように、穴が1つもしくは2つ見つかるはずです。
2つある場合は、中心にある穴が時刻合わせ、中央より離れた位置にある穴がぜんまいの巻き上げ用です。
1だけの場合は、その穴がぜんまいの巻き上げ、時刻合わせは文字盤側で行います。

【 穴が2つの場合 】
2つ穴があるタイプ

【 穴が1つだけの場合 】
穴が1つだけのタイプ

 

 

2つの穴で時刻合わせ・巻き上げを行うタイプ

2つ穴があるものは、中央の穴が時刻合わせ、外側の穴がぜんまいの巻き上げ用です。
時計に付属している鍵巻きを、操作したい側の穴に差し込んでください。
中央の時刻あわせの穴に差し込み回すと、長針と短針が動き、時刻を合わせることができます。
外よりのぜんまいを巻く穴に差し込む場合は、鍵を左回し、もしく右回しにするとぜんまいが巻き上がります。

 

左回し・右回しがあるのでご注意ください

時計によって、巻き上げる方向が違いますので、まずはゆっくりと左もしくは右に回してみてください。
鍵を回すことができる方向、カチカチと巻いている音がするほうが巻き上げる方向です。
くれぐれも回らない側(反対回し)に、力を入れて回さないようにご注意ください。

ぜんまいの巻き上げは左巻きか右巻き

 

 

穴が1つで文字盤側で時刻合わせを行うタイプ

穴が1つのものは、ぜんまいの巻き上げ用です。
巻き上げ方法は、上の穴が2つのタイプと同じです。
時刻合わせの方法が文字盤側になりますので、操作が少し特殊になります。
表蓋を開けて時刻を合わせる前に、より安全に開けるためにいくつか確認をしながら、手順を追って進めます。

 

手順① 表蓋のちょうつがいを確認

表蓋の周りを見回すと、ちょうつがいのような部分がありませんか?
この部分を軸に表蓋が開きます。
ちょうつがい部分になりますので、こちら側からは開きません。

表蓋のちょうつがい部分を確認

 

手順② 開き口を確認

表蓋のちょうつがいの反対側を見ると、指を掛けられそうな小さな突起があります。
この部分から表蓋を開きます。

表蓋の開き口を確認

 

手順③ 短針と長針の位置を確認

時刻合わせの操作は、短針と長針が開き口からできるだけ離れた位置にある時に行います。
慣れてくるとうまく開くことができるようになりますが、慣れないうちは、できるだけ短針と長針が、開き口とは離れた位置にあるときに表蓋を開くようにしてください。
開き口近くに針があると、慣れた方でも、表蓋を開いた際に手が滑ったり勢いよく指が入ってしまって、指で短針や長針を折り曲げてしまうことがよくあります。

針が開き口とは反対側にあることを確認してください

 

手順④ 表蓋を開く

突起部分の裏側に指を押し当てて、ちょうつがい部分が軸になって開くことをイメージしながら、ゆっくりと押し上げます。
締まりが固い場合は、指ではなく爪先をケースの隙間に入れ込むような感じで開きます。
力の加減が難しいところで、急に開いて指先が勢いよく文字盤に入り込んでしまって、針を折ってしまうことがありますので、慎重に開いてください。
「こじ開け」と呼ばれる道具があれば、より簡単に開くことができます。

表蓋を開く

 

手順⑤ 鍵を差し込み時刻を合わせる

長針・短針の中央の四角い部分に、鍵を差し込んでください。
鍵の芯棒

鍵を回すと長針・短針が動きますので、ゆっくりと丁寧に回して時刻を合わせてください。

鍵を差し込む

 

 

鍵巻き式のご注意

特にぜんまいを巻く側は、しっかりと鍵を差し込んで、鍵がしっかりと噛み合っていることを確認して巻き上げてください。
鍵のサイズが合っていない、しっかりと差し込まれていないまま回すと、鍵が滑って鍵自体もしくは芯棒が摩耗してしまいます。
文字盤側で時刻を合わせるタイプは、開け閉めの際や時刻を合わせる際に、手が滑って針を触ってしまったり折ってしまうことが良くありますので、操作の際は慎重に行ってください。

また時刻合わせ用の穴とぜんまいを巻くための穴には、合う鍵穴のサイズが違うものがあります。
1本の鍵だけしかなく、どちらかの操作時に滑ってしまう場合は、できるだけ早めにサイズの合うもう1つの鍵を入手するようにしてください。

鍵巻き用の鍵

鍵巻きにはいろいろな種類があり、金銀製のものや宝石入りのものまで多種多様です。
アンティーク時計に慣れてくると、ついつい時計に合わせて、より良い鍵を合わせてあげたいと思う物です。
しかし最も重要なのは、お使いの時計に合う鍵をお使いいただくことです。
鍵穴には様々なサイズがあり、使用によって穴が広がっているものもあります。
入手された鍵が必ずしも、お持ちの時計に合うわけではありません。

 

 

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