アンティークという風格ある雰囲気が漂う
アンティークならではの面白さ、そしてその雰囲気や重厚感。
それらはその物が持つ「価値」という言葉で、言い換えることができるかもしれません。
人の感じ方や思い入れによって変わる価値観。
アンティーク、またアンティーク時計では、その人の個性や価値観がとても良く表れるもの。
今お持ちの時計の中に、貴方の価値観を満たしてくれるもの、満足させてくれるものはありますか?
この懐中時計のように、明らかな違いそして光るような個性・価値は、見る人によって大きく変わるものですが、それこそ「自分」を表現するためのものではないでしょうか。
今から100年以上、1世紀以上前に作られたロンジンのこの懐中時計は、まさにこの時代ならではの表現を見せてくれるもの。
懐中時計というその形1つをとっても、そのデザインや時計の顔、そしてそこに込められた技法も、ほかにはあまり見ることのない希少品。
誰にでも気に入って頂けるものではありませんが、写真をご覧いただいて、「これは」と感じて頂けたなら、この品を並べた価値があったというものです。
美しいニエロ・黒金装飾
この時計に使われている「ニエロ・黒金装飾」という技法は、年代の古いアンティークの銀製品の宝飾品や、キリスト教の宗教画などに用いられていた特殊な技法。
非常に繊細な模様・デザインがこの時計にも表現されているわけですが、黒く表現する部分は、その模様通りに銀の表面を彫ってあるのです。
そこに主に銀を素材とした黒色銀を流しこむことで、このようなデザインを作り上げています。
一般的な時計と比べて、どれほどの時間と手間がかけられているかお分かりいただけるのではないでしょうか?
単純に銀の表面に塗料で絵を描くような、そんな簡易な作業ではありません。
主に1900年前後の懐中時計にだけ見られるものですが、時代が進むごとに銀自体が宝飾品や時計に使われることが減り、技法的に衰退また製作にかかる手間や時間を考えると、数が作られていなかったことも想像に難くないものかと思います。
言うなればまさにアンティークならではのもので、この懐中時計に対してもそうですが、歳月を経たという価値の重み・雰囲気が伝わる作りといえるでしょう。
店主のワンポイントと評価
総合評価
黒金装飾の懐中時計に、それに見合う黒金装飾のチェーン。
時計に施された模様にしても、なんとも言えない渋みを感じさせてくれるものです。
写真は拡大していますので、「粗い」ように見えますが、実物ではとても雰囲気が良く綺麗な懐中時計。
この部分は、写真では伝わらない部分かなと思います。
銀製品ですので磨くこともできるのですが、ニエロ・黒金装飾自体の状態自体が非常によく、また時計の色合いとしても、磨かないこのままの色合いが面白いと思えるものですので、あえて綺麗に磨くことはせず、銀特有の黒ずみを残してあります。
金時計のように表面に装飾されている懐中時計も面白いものですが、こういった装飾の施された銀時計は、そこに見えない手間と時間がかけられたもの。
その表面を彫り込んだうえに施された装飾であることを考えると、そこに施された手間の価値は貴重なものです。
状態
見えない部分ですが、文字盤の表面にヘアラインが入っている箇所があります。
ただそれを加味しても、ケース装飾の状態の良さなども考慮すると、とても状態の良い1点だといえるでしょう。
希少性
全体的に状態も良く、技法やデザインとしても珍しい1点です。
贈り物
とても雰囲気の良い1点ですが、人によって好みが大きく分かれるところです。
備考
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