個性と特徴を楽しむデザインの美しい1点
多くの傑出したデザインの腕時計が輩出されたのは、腕時計全盛期とも言われる1940年代。
時計の形として大きく変わったこともありますが、デザイン性に優れたメーカーが、採算性ではなく、「出来や違い」を競い合っていた時代だからこそといえるでしょう。
現代の時計と比べても、明らかにはっとその目を奪われるのは、こういった「作り手」の思いが時計に伝わっている時代のもの。
このロンジンの腕時計も、当時のデザインセンスに優れたロンジンらしさを非常に良く表現した1点。
当時の婦人物としては、非常に小さな1.5センチほどの時計が好まれていた時代ですが、それらの時計とは一線を画すデザイン自体の違い。
一見してわかるところでは、12・3・9時の赤いルビーの美しさ。
そしてその他のインデックスは、ゴールドの丸という豪華さをあしらったもの。
そのような作りでありながらも、短針と長針は非常に細いもので、宝飾時計の煌びやかやにうまく調和する上品な形。
ローズ色のケースや文字盤もまた、これらのデザインと非常に良く調和しています。
バンドの留め口を見せない
これもまた、この時代の時計に見られるものですが、言われてからはっと気づく部分かと思います。
一般的な時計であれば、時計の上下に4つの足のような部分が出ていて、そこに革バンドを留める作りになっていますね?
でもこの時計は、そういった足の部分がありません。
そうです、この時計はバンドを留めるための「当たり前」であった足の部分を、腕時計のケースのデザインによって隠してあるという作り。
写真をご覧頂いてもお分かりいただけるかと思いますが、時計自体からすっとバンドが自然に伸びているかのように、「バンドを留めてある」というその部分が見えないようになっています。
時計のケースの形としてもそうですが、見えない部分・当たり前の箇所という点でも、手を加えられている特殊性、メーカーの切磋琢磨という努力がしっかりと目に見える1点でもあります。
店主のワンポイントと評価
総合評価
ローズ色によく調和するルビーという宝石を合わせる、ケースの形も角形でありながら、その上下にカーブをつけた上で形にも特徴を持たせる。
その当時としても、非常に特徴的な腕時計であったものですが、現代から見ると、それが個性的でありさらに魅力的なものに見えるもの。
どのメーカーの時計を見ても、どこか同じように見えてしまう現代とは違って、この時代のこのメーカーだからこそ、という明らかな違いが見える、身に着けることで「自分だけ」そういった時計の楽しみ方のできる満足感のあるデザインです。
基本的にはサイズとしても女性用です。ただ腕の細い方でデザインを気に入られた方なら、男性用として着けて頂いても面白い物でしょう。
状態
着けている状態ではほとんど見えない部分ですが、文字盤の軽い傷や経年変化、ケースにも軽い凹みがあります。
希少性
特徴的かつ個性的なデザインのため、製造された期間自体が短く、比較的珍しい商品です。
贈り物
時計の色味やデザインが際立っていて、時計として楽しみ・面白さ・個人としての満足感が非常に高いものだと言えます。
若干経年変化等も出ていますが、時代・年代を考えると非常に状態の良いものです。
デザイン的な特殊性もありますので、どちらかというとご自身へのプレゼントという形でお勧めしたいものです。
備考