エルジン 特許を得た特殊な形のアンティーク懐中時計 【1927年製】

形が特許を得た特別な懐中時計

この時計の面白さは、ひと目見た時に、脳裏に飛び込んでくるような、見たことがないその特殊な形。
懐中時計全般を見ても、非常に特殊な作りをしているもので、当時一般的な形であった丸い形という根本を崩し、ケース自体の形を大きく変えたところが大きな特徴です。
この時計が作られた時代は、懐中時計の全盛期と言われる時代ですが、時計を作る技術としても、まだまだいろいろな試行錯誤が試みられていた時代。
ケースの内側に刻印されている特許番号、どれだけの自信と思い入れがあって世に出されたものかが伝わるようです。

懐中時計から腕時計に移り変わる、時代としては懐中時計時代の終わりに近い頃。
より精度の高い機械という点に焦点が置かれながらも、デザイン的にも試行錯誤が凝らされていた時代。
形というデザイン性にも着目して頂きたいのはもちろんのこと、ケースの側面・吊り下げる箇所にも立体的な綺麗な模様が施されていて、この時代の雰囲気を感じさせてくれる、アンティークならではという味わいもあります。

アンティークという面白さ

懐中時計と言えば丸いもの。そういった概念を覆してくれるもの。
形が特許になるほど、その当時としても特別なものですが、懐中時計の「カタチ」という点では、懐中時計時代を通しても、特殊な形のものはほとんどありません。
現代のように個性が多様化した時代ではなく、奇をてらうような物が好まれた時代でもなかったのでしょう。
丸形以外には、四角形・五角形・六角形なども少ないながら作られましたが、あくまで既知の形を懐中時計に当てはめたもの。
この時計が特別であるのは、そういった既存の形ではなく、形自体も特殊でかつ、曲面・装飾面などのデザインの組み込み方も見事であったところでしょう。

店主のワンポイントと評価

総合評価　A+

何とも言えない特殊さと魅力のある懐中時計で、デザイン性という意味では、懐中時計の中では出色。
平らに見える部分も緩やかなカーブを描いていて、それぞれの面が違う方向に向いているため、光の反射・影の映り込み具合も多彩です。
デザイン自体も上品で、使う程に引き込まれるような魅力があります。
アンティーク懐中時計という特別な品を楽しむなら、その時代の定番ではなく、その時代の突出したものを楽しむというのも、アンティークの楽しみ方の基本の１つです。

状態　A

ケースにわずかに軽い凹みなど使用感があります。

希少性　A+

形やデザインからも希少性の高いもので、状態の良いものはなかなか入手できません。

贈り物　A+

懐中時計としては定番の形ではなく、その時代にあっても特殊なデザインになります。
人の好みよって評価が分かれるデザインですが、間違いなくその価値と希少性を感じて頂けるものです。

備考

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