どこから見ても特別な1本
時間を見るのはスマホ。そういったことが当たり前の時代。
時代が変わり服装やマナーも簡略化されていく中、改めて腕時計を着けて頂きたいと思うのは、やはり「着けることの面白さ」があるから。
このルクルトの腕時計には、これを腕に着けて頂くだけで、その場に大きな違いを生み出すことのできる特別な1本。
それだけの違いが、写真や作りをご覧いただくだけで明白なものであり、それこそが着けて頂く理由であると考えます。
時計のデザインってこんなに自由だったんだと、現代の完成されたスタイルの時計と比べて頂くと、その違いに驚いていただけるものだと思います。
時代とともに完成されたスタイルは、「作る」という商業的・製造的な部分でも完成されたという意味でもあり、反面、あるべき個性が消えていたということでもあります。
腕時計の全盛期が40年代と言われますが、この時計はその頃の良さを非常にうまく受け継いだ1点だと言えるでしょう。
時計のどこから見ても、明らかにどの時計とも違う。
デザイン的な面では、時計上部の時計の面積の割合からも大きく取られた、透かしのある装飾部分。
そして時計正面の左右にある、立体的にな装飾部分。この2か所だけをご覧頂いても、普通の時計ではないことがお分かりいただけるはず。
もっと大きな特徴は、それらの装飾を可能にする原点になっている時計の形。
側面からご覧いただくと、くの字、への字のように時計の上部で少し折れ曲がった形になっていること。
装飾性を高めるというのはもちろんのこと、これは腕に着けていただかないとわからないことですが、時計・時間を確認して頂きやすい形にもなっていて、実用的な面も備えています。
一般的な時計の場合ですが、時計を腕にした時に、時計が腕に密着し腕と並行になります。
時間を確認する際に、文字盤が目に見えるように、少し不自然に腕をひねらなくてはならないことにお気づきになられているでしょうか?
そう男性でも女性でも、時計をご覧頂く際に、当然のように肘を曲げて時間を見るという、腕時計をされている方にはよくある動作。
ごく自然で当たり前の「時計を見る」という動作ですが、少し工夫を加えることで、その所作も変わってきます。
この時計では時計の上部側が少し高めになっているため、ごく自然な状態で、時計の文字盤が目に入りやすくなるという作りになっています。
デザイン的にもこだわったものでありながら、時計を見るという所作にも違った視点を加えているという、時計の見た目からでは伝わらない特徴を持っています。
また細かいところでは、お気づきになられている方も多いと思いますが、リューズの位置が側面ではなく下側に、風防も中央部分が尖った高くなった形になっています。
立体感と存在感
腕時計といえば、腕にフィットするような平面的なものをご想像されることでしょう。
それはそれでもちろん良いものですが、時計を着けることが一般的ではなくなりつつある現代にあっては、その点を覆してみるのが面白いのではないでしょうか。
この時計のように、腕にした時に横から見て三角形のように、バンドから飛び出したように存在感を見せつける。
「これ腕時計なの?」と、驚いて見てもらえることができたら、それがこの時計の1つの価値と言えるものでしょう。
平らなバンドとの調和ではなく、バンドはあくまで引き立たせる脇役、主役は「時計」だとはっきりわかる良い1点です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計のデザインの面白さという点では、確実に群を抜くもの。
当時の婦人物といえば小さなサイズのものですが、それでいながら、上部・正面両端・風防と立体的なデザインで、とても存在感があります。
現行のレベルソなど、モダンで新しいルクルトをお好きな方にも、この時代の作りと技術を生かして作られた独創的な1点ということでお勧めしたい1点です。
時計に合わせているバンド自体も、少し昔に作られたものを、この時計のデザインの特殊性に合うような形で合わせています。
少し改まった色合いで、定番のクロコダイルなどのバンドを合わせても、引き立つ時計デザインであることは間違いなしです。
状態
経年・使用による軽い傷はありますが、気にならない程度のものです。
バンドは昔に作られた新古品であるため、若干窪み等のある個所があります。
希少性
特殊なデザインと作りのもので、なかなか同じものはありません。
贈り物
現代の高級感あるルクルトのイメージそのままに、アンティークとしての良さも伝わる作りです。
時計を着けた時の、時計の姿からも、特別な1点であることが伝わるものだと思います。
贈物としても非常にお勧めの1点です。
備考
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