歴史を感じるオメガの腕時計
時代の移り変わりとともに、腕時計の形というのも大きく変わっていきました。
古式ゆかしい正統派というスタイルは鳴りを潜め、現在では簡略化そして省略していく流れが続いています。
昔の良さが見直される揺り返しのような流れもありますが、この流れには抗えないものもあるのでしょう。
ですが、その中でいわゆるアンティーク、言い換えれば「過去の作品」に目をやると、その美しさに魅了される、目を奪われることは、時計という枠組みの中では、本当にとても良くあることです。
このオメガのアンティーク腕時計も、当時としても珍しいものですが、現代から見ると、現代のモダンでカジュアルなスタイルとは、まったく違うものであることがお分かりいただけるかと思います。
現代のステンレス製やカジュアルでモダンな腕時計で、着物やドレスが似合いますか?
どんなに良いメーカーの時計をしていても、鏡でその姿を見た時に、多くの方がそのようにされているのでとは思いながらも、どこか違和感を感じられないでしょうか?
アンティーク時代の腕時計は、女性の腕元にモダンさを光らせるのではなく、どのように美しく見せるか。
現代とは大きく違った価値観で、あるべき形にこだわったことがお分かりいただけるかと思います。
金と宝石の美しい組み合わせ
このオメガの腕時計は、当時のスタイル・デザインの美しさを、視覚で感じさせてくれるもの。
当時の婦人物は、女性の腕元を上品に彩るために、サイズとしても現代の時計と比べるととても小さなものです。
それでいながら、はっと目がいってしまう力強い存在感があるのは、この時計の良さと言えるところでしょう。
粒よりの8石のダイヤモンドに、細くカットされた6石のルビー。
18金の腕時計のケースに合わせられているのは、こちらも時代を感じさせる作りの14金のバンド。
文字盤には数字ではなく、赤い宝石のインデックスが12石で、風防は薄い桃色という、時計の全てのデザインを溶かし合わせるかのような、統一感を生み出しています。
ただ単に均一的で作りやすい腕時計の形ではなく、手間はかかるものの、それぞれにこだわった形を作り出す。
こういった特別さと、もうあとひと手間というところで大きく違うのは、アンティークならではの魅力であり、現代の腕時計には足りないものではないかと、気付かさせてくれるものではないでしょうか。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時計の上下に鏤められた、ダイヤモンドとルビーの組み合わせがとても綺麗なものです。
ダイヤモンドのキラキラと眩い輝きに、ルビーの赤く透ける美しさ。
風防のまさに「程よい」といえる淡い色合いの中に見える、小さなこれも個性あるインデックス。
素材の豪華さという点もありますが、宝飾品・装飾品という点では、時計のブレスレットのような美しさがあります。
文字盤に数字がありませんので、時間の確認という意味では、ちょっと見づらいものですが、この時代にあって「時間を気にしない」時間に縛られない、デザインが数字に縛られないという、この時代だからこそ、この時計を着ける方だからこそ、という気遣いのある作りだとも言えるでしょう。
状態
風防に少し傷はありますが、肉眼ではほとんどわからない程度で交換が必要な状態ではなく、同じ色では替えの利かないものですので、あえて交換はしておりません。
時計の裏側にある彫りは、1939年12月25日に贈った方と贈られた方のイニシャルが彫られています。
日付からすると、クリスマスのプレゼントとして贈られたものだと考えられます。
作られた年代を証明するものでもあり、時計の価値に加味されるものだと考えます。
希少性
当時としても希少なもので、素材・組み合わせ・状態面からも特別な1点です。
贈り物
時計自体の存在感や特別な雰囲気、素材や状態の良さからも、贈り物として非常にお勧めできる1点です。
備考
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