英国気質を伝えるメーカー
古くは英国王室御用達というお墨付きを持った、由緒ある英国ブランド。
時計メーカーとしては、第一次大戦中の被災によって頓挫してしまいますが、英国製にこだわったブランドとして、その後も活躍を続けたメーカーです。
その後の時計販売にしても、機械はスイス・英国製にこだわり、外側のケースは自社のベンソン名、そして英国・ロンドンという名前にこだわり続けたことでも知られています。
時計の機械自体を製造するメーカーではありませんので、時計の数としては、時代が進んでもそれほど増えなかったため、現代では珍しさもあり、またそれと同時に、「英国製の時計」ということで、日本では英国スミスが人気があり知られるところですが、英国ではそれと並んで、近年は英国製アンティークとして見直され人気のあるメーカーです。
日本では戦後復興の立役者、白洲次郎が英国留学時から好んで使用したメーカーとしても、その名を知られているところです。
大きさ・存在感と風格溢れる1点
この時計は「懐中時計」という名前にしていますが、その実は懐に入るものではありませんので、本当のところは懐中時計ではありません。
この時代の、車や飛行機などに搭載されたり、置時計として使われていたもので、視認性の良さから、第一次大戦時に軍用として多く作られた「蛍光塗料」が施された作りになっているのが特徴です。
懐中時計全盛期の形がそのまま大きくなっているような作りですが、それだけに陶製の文字盤にしっかりとした機械式、古き良き時代が感じられる雰囲気になっています。
約200gという、男性の手のひらでがっしりと掴んで、そのサイズと重さをご確認いただける、存在感を感じて頂ける大きさで、その動作音ともども、とても風格ある1点です。
また時計の作りは8日巻きと呼ばれるもので、時代背景などから時計の主流にはならなかったものですが、これもまた進歩と歴史の面白さ。
毎日巻き上げることが必要な手巻きとは違って、1度いっぱいまで巻き上げると、約8日間・1週間ほどは動いてくれるという利便性を持っています。
設置される場所や8日巻きということで、せわしさを感じる秒針がないというのも、すっきりしていてデザイン的にも8日巻きに合っています。
店主のワンポイントと評価
総合評価
とてもシンプルな作りではありますが、非常に大きいもので、時計としての存在感や風格は群を抜きます。
カリカリと巻き上げるリューズのサイズも、懐中時計のそれと比べると、非常に大きなもので、リューズというよりはまさにネジ。
巻き上げる音の響きの良さ、回す際の感触も非常に心地よい物で、懐中時計のものとは比べ物になりません。
飾っていただくにしても、置き時計として使っていただくにしても、非常に雰囲気のある良いものです。
ケースは真鍮製になっていますが、表蓋を開けた位置になりますが、両側に小さなネジ穴のようなものがあるのは、きっとどこかに固定されていた時の名残でしょう。
車載時計・航海時計のように、固定してオブジェとして楽しんでいただいてもとても雰囲気が出る、楽しんでいただける1点だと思います。
状態
特記事項はありません。
希少性
英国ベンソン製の時計という点で、他の時計よりも作られている数の圧倒的に少ないものですが、このような特殊なタイプとなると、本当に数がありません。
非常に珍しい1点であることは間違いなく、S評価をしても良いくらいのものです。
贈り物
時計自体の作りから、どなたにでもお勧めできるものではありませんが、この特別な雰囲気や作りは、求めている方にとっては「これだ」、ここに置くものを探していた、ここにぴったりだという、感動していただけるほどの満足感を与えてくれるものだと思います。
プレゼントとしてお選びいただくよりも、ご自身へのプレゼントとしてお勧めします。
備考
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