第二次大戦時から蘇る鮮やかな懐中時計
このオメガの懐中時計、作られてから約80年が経っていますが、そんな古さを感じさせない、ローズ色の鮮やかな色合いが魅力的な1点。
1940年頃はすでに懐中時計の時代ではなく、20年も昔に時代はすでに腕時計に移りかわっていました。
そんな時代でありながら、懐中時計が作られたのは、このような時代背景があったのでしょう。
この懐中時計が作られたのは、第二次世界大戦の真っただ中。
ヨーロッパをはじめとして、世界各国が戦争に巻き込まれていた時代で、多くの時計メーカーも、この戦争に間接的に巻き込まれていきます。
第一次大戦時よりはるかに進歩した兵器や戦術、軍用機に積まれる計器や兵士たちの身に着ける時計。
より緻密で正確さが求められるとと同時に、軍用として大量の時計が必要となり、腕時計よりも見やすい懐中時計がまた、この時代になって息を吹き返していました。
そんな軍用時計の供給に、今では想像もつかないような、現代の高級時計メーカーでさえ、軍用時計を製造していたそんな時代です。
ローズ色の上品な色合い
銀時計を彩るように、縁の部分にローズゴールドを配した鮮やかで上品な色合いを持つケース。
素材としての銀は、時間の経過とともにいぶし銀とも言われますが、少し黒ずみが出てくるため、ステンレスに変わっていきますが、そんな時代にあって、使われなくなった銀を使うという、前時代的な作りを持った本来の「懐中時計」の姿の再現。
シンプルな数字の黒いフォントや、24時間表示部分となるように、小さな赤い数字。
アンティーク時代のオメガの腕時計によく使われた、先端に丸という形の特殊な短針と長針の形に、裏蓋の綺麗な装飾。
アンティークとしての魅力が、たっぷりと詰まった1点。
1920年代に終わりを告げる、陶製の文字盤や銀のケースなど、昔ながらの作りを腕時計の時代に作り上げているところが、見た目としても時代背景としても面白いところ。
軍用に使われていたマークなどはありませんが、当時の時代背景的な部分や、軍用としての見やすさという点で、そのような使われた方をされていたものかもしれません。
店主のワンポイントと評価
総合評価
アンティークの「らしさ」を、しっかりと備えた綺麗な銀時計。
何も言わなければ、懐中時計時代のものだと思われるほどの器量の良さです。
大型の懐中時計になりますので、サイズ的にもしっかりとしたもので、ローズ色の特徴的な色合いと相まって、とても存在感のある1点です。
状態
非常に状態の良いものですが、写真でご覧いただけるように、ローズ色の部分に少し薄くなっている箇所があります。
また裏側の盾型の装飾部分に、小さいな傷があります。
素材の特性上、軽く磨く程度に留めてありますので、使用による小さな傷などもありますが、このようなローズ色の装飾を施された時計としては、とても状態の良いものです。
希少性
この時計が作られた時代としては、圧倒的に腕時計が主流で、懐中時計としては非常に少なくなっていた時代で、そういった意味ではこの時代の懐中時計としては希少なものです。
贈り物
数字のフォントなどからも伝わるように、見やすさや親しみやすさのあるデザインです。
銀にローズ色の施された綺麗なケースで、リューズもローズ色という、上品な雰囲気があります。
前時代の懐中時計と比べると、穏やかな表情といった感じですので、こういった雰囲気をお好きな方にお勧めします。
備考
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