古き良き英国の風薫る
英国王室御用達であった名ブランド・ベンソンの、非常に古い鍵巻き式の銀時計。
コチコチという昔懐かしい・手巻き時計をお持ちだった方にとっては、本当になんとも懐かしい音をしっかりと響かせてくれる大型の懐中時計です。
時代的には懐中時計が鍵巻き式と呼ばれるものから、鍵を必要としないリューズによる巻き方に変わる頃の懐中時計で、こののち主流になるリューズ巻き時代の物と比べると、さらに肉厚で非常に重厚な作りをしている懐中時計になります。
書斎に置いておけば、コチコチという音がまるで部屋中に響き渡るかのような、そんなしっかりとした音を立てて動いてくれるのは、この年代の機械ならではのもの。
この音を例えるなら、クラシックカーの「このエンジン音が無ければ寂しい」と言うような、「レコードのこのノイズが良い」というような、何物にも代えがたく、無くなると味気ないという大切な音。
アンティークな書斎を楽しんでいただいている方にとっては、この音がタイムスリップをさせてくれるような時間を生み出してくれるものでしょう。
19世紀の英国時計が魅せる貫禄
作られてから軽く100年以上が過ぎ、三世紀を跨いだ受け継がれる歴史。
この時代の懐中時計の基本を押さえる、非常に貫禄ある大きさそして重量感も、英国ロンドンを起源とするベンソンの魅力。
直径5cm・重さにして100gを軽く超えるその重量感は、手のひらに収めていただくと、これだか懐中時計なんだと、その魅力を感じていただけるはず。
懐中時計が貴重で希少な時代であった頃の物で、「使うこと」を前提に、そして富の象徴として「見せるもの」として作られた、ものの良さが伝わります。
年代的に1900年前後の西欧・特に英国の映画をお好きな方にとっては、より身近で楽しく感じてもらえるもの。
最近でいえば、人気のあった映画「英国王のスピーチ」の中のワンシーンで、懐中時計を見ながら置時計のガラス蓋をおもむろに開けて、その時間を直すというシーンが印象的ですが、この時計もそんな時代の産物。
鍵を巻くためには、裏蓋を手で開けていただいて、鍵穴に差し込んでぜんまいを巻くという、なんでもリモコンやワイヤレスで済んでしまう現代では考えられないような作りのもの。
デジタルに対してアナログと呼ばれますが、まさに人の手が必要な時計であって、その手間こそ楽しんでいただきたい時計でもあります。
店主のワンポイントと評価
総合評価
時代とともに装飾品や身だしなみは簡略化されていきますが、「紳士」という言葉が似合う時代のもの。
ハットにステッキ、懐には懐中時計を収める。そんな姿が自然と想像される素晴らしい1点です。
メーカー名のJ.W.Bensonは、J(ジェームス)・W(ウイリアム)の略で、その名前の響きも非常に魅力的。
英国では、「英国王室御用達」の時計メーカーとして知られ、日本では英国で学んだ白洲次郎が好んだメーカーとして知られています。
時代的に古いもので時計自体の作りも古くなりますので、5分ほどの誤差が出ることがあります。
鍵でぜんまいを巻き上げなければならない点、また誤差が出ますので時刻も合わせていただく必要がある点から、手間をかけることを楽しんでいただける方にのみお勧めする時計です。
状態
若干ケースに窪みなど使用や経年による劣化が見られますが、全体としてみると非常に状態の良いもの。
当時の時代背景からすると、実用として必ず「使われる」ものであったことを考えると、このように状態よく残っているものとしても珍しいものです。
希少性
非常に古い鍵巻き式ですが、状態も良く、年々希少かつ貴重になっているものです。
年代が古いだけに、状態の良いものが入荷しづらくなっています。
贈り物
当時の英国王室御用達メーカーの懐中時計であり、それが機械にも刻印されています。
戦後の日本経済をけん引した英傑、白洲次郎の好んだ懐中時計メーカーでもあり、そのような点でも非常に魅力を感じていただけるものでもあります。
書斎に置いて頂くだけでも、その魅力が部屋中に伝わるといっても過言ではないほどで、贈り物としても非常にお勧めの1点です。
備考
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