所有者の心をくすぐる職人技
アンティークの懐中時計が作られていた時代は、機械や技術が進歩するとともに、人の手による職人技が人々を魅了した時代。
新しく生み出されていく素材や物に対して、人々の手によってそれにさらなる価値が加えられていく、磨かれていくという、職人と技術の進歩がうまく融合した時代ともいえるでしょう。
これから先、長い年月をかけて、人の手による仕事が機械に変わっていく、人の手によって生み出すという時代の終焉の始まりではありますが、並び立たない両者が引き立てあい、華やかな輝きを放っていたこの時代こそアンティークの花形です。
この懐中時計をご覧いただくと、機械という時計としての形と、所有者の想いと作り手の遊び心。
それがうまく融合している懐中時計だと感じていただけるのではないでしょうか。
イニシャルをアートとして時計に組み込む
この時計の魅力は、人気のあるウォルサム社の100年物の懐中時計というだけではありません。
最大の魅力は、懐中時計のケースに施されているイニシャル「I」の模様。
苗字にIの文字のある方であれば、自らの苗字とともに、時代へ受け継ぐという特別な楽しみ方・価値のある1点です。
わざわざお伝えするまでもありませんが、写真からでもその見事さががわかる、装飾が施された立体的な「I」の文字。
ローズゴールドで仕上げられた立体感あるイニシャルは、その当時ならではの、特徴あるスタイルのアルファベットの装飾文字。
所有者の想いを込めるためのイニシャルは、現在でも様々なところに見られる大切なものですが、ここに施されたイニシャルもそのまた1つ。
現在との違いは明白で、「このような品を作ることができる職人がいた」時代であったものであるからこそ。
美しくかつ上品にそして自然に。
時計に施された装飾に溶け込むかのように、自然にそして力強く、イニシャルが時計の装飾に同化しているといってよいものです。
今日明日に作られたデザインではなく、古くから受け継がれた技法、それが懐中時計と融合してこそ成せる技。
懐中時計のケース自体の装飾もまた美しく、両面に描かれた黄色・緑・ローズゴールドの三色で描かれた草花。
そしてその反対側には、これまたこの時代ならではの、無地の盾の装飾。
イニシャルなどを彫り込むことができるものですが、何かの折りに入れられるべきものだったのか、今となってはわからないものですが、秘めたる味もまたアンティークとしての魅力です。
店主のワンポイントと評価
総合評価
彫りとして施されるイニシャルは、当時としても一般的な手法の1つ。
しかしながら、このようにジュエリーの一部のように作られたイニシャルは、非常に珍しいもので、かつとても存在感があります。
両面に施されている装飾も素晴らしいもので、装飾を中央に寄せ、外側は空白としているのも、装飾を際立たせる技法。
非常に綺麗な装飾のある時計で、イニシャルに「I」の文字を持つ方にとっては、まさに自分のために作られたもののように感じていただけるはず。
艶のある白色の文字盤には、ローマ数字というすっきりとしたデザインで、外側の豪華さと内側の純粋な作り。
この対比の美しさも、この時計の特徴だと言えるでしょう。
状態
ケースの側面に小さな傷こそありますが、年代を考える時にしていただく程度のものではありません。
希少性
ジュエリーのように立体的にイニシャルが施されているものとしては数が少なく、とても希少なものです。
その希少さの中にあって、ご自身のイニシャルに当たる確率は、単純に言えばアルファベットの数である26分の1。
同じ作りを持つもの自体が非常に少ないものでありながら、自分のイニシャルに合うものと言えば、さらにその中の一部のみなのです。
ご自身のイニシャルに合うものであれば、まさに出会いの品と言わざるをえないものでしょう。
贈り物
ケース装飾自体も素晴らしく、また内側の時計の顔もアンティークらしいの一言。
時計自体のサイズも中型程度のもので、男性また女性にも気に入っていただけるサイズでお勧めできるもの。
贈られる方のイニシャルに合うものであれば、どれだけ珍しいものであるかを、語って贈りたくなるような大切な1点になるはずです。
備考
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