ロレックス・宝石商・政府機関のトリプルサイン
今も昔も変わらない、高級時計の代名詞といえば、一般に知られるその名はやはり「ロレックス」。
高級外車メーカーと同じように、甘美に響く高級時計メーカーといえば、その名が挙がるのはロレックスです。
現代の新しい時計でも人気があることはもちろん、その名前とステータスがロレックスを着けることの意味であり主張である。
そこにはすべてを越えた価値と魅力が詰め込まれています。
この銀時計は、そんなロレックスの1920年頃の懐中時計。
ロレックスの懐中時計の中でも、非常にしっかりとした作りのものであり、しっかりとした出自と経歴を併せ持つ時計でもあります。
ロレックスのトリプルサインは希少なものですが、この時計には、ロレックスの名前だけのトリプルサイン以上に合わせることができない、歴史と場所と人の組み合わせが刻まれている真正の品。
その由来は、当店のあるメルボルンに関係しています。
この時計が販売されたのは、ここオーストラリアのメルボルンとパースに、非常に古くからあった、オーストラリアを代表する宝石商ダンクリングス。
1895年に創業したダンクリングスは、1927年までメルボルンがオーストラリアの首都であった時代にも、メルボルンの街の中心にその店を構えていた大宝石商です。
オーストラリアでのロレックスの販売を古くから手掛け、販売される時計にはロレックスとダンクリングスの名が併記されているほどであったことから、その当時の規模も伺い知れるもの。
この時計にも、時計の文字盤そして機械にダンクリングスの刻印が施されていることから見ていただいても、ロレックスにとってもどれほど有力な宝石商であったかを知っていただくことができるでしょう。
時代の流れで、現在はダンクリングスのお店を見ることはできなくなってしまいましたが、ほんの数十年前まで、各ショッピングセンターの主要なジュエリー店として多くのチェーン店を出していたことでも知られ、テレビコマーシャルでも知られるほどの宝石商であったことから、その名前を今でも覚えている方が多いお店でもあります。
そしてこの時計が贈られたのは、時計のケースに刻印があるように、オーストラリアの政府印刷局に携わっていたファレル氏。
役人であったのか勤めていた方であるのか、その関係性は知る術がありませんが、このような書かれ方をするのは、印刷局の同僚の方々が1934年10月6日、ファレル氏の何かの記念に贈られたもの。
当時の懐中時計と言えば、非常に高級品でもあり、かつそれをメルボルンを代表する宝石商に依頼し、しかもロレックスの懐中時計に刻印を施して用意するというのですから、ただならぬ方であり、よほどの記念であったものでしょう。
ロレックスの銘があり、そしてそれを取り扱った宝石商ダンクリングスの刻印とその元箱があり、そしてそれを贈られた政府印刷局のファレル氏の名前がある。
それぞれの関係性が伝わるような、歴史と時代背景を含んだアンティークの名品。
懐中時計の状態としても非常に良いもので、手に取るとずしりと重い。
ロレックスの銘がその重みを加えるのか、この時計の価値がそうさせるのか、同じ懐中時計よりも荘厳な雰囲気を持っています。
サイズとしても大型の銀時計で、しかもケース自体にもしっかりとした厚みがあって重厚な作り。
作られた当時の懐中時計の形をしっかりと持つものでもあり、まさに歴史の逸品と呼べる時計でしょう。
店主のワンポイントと評価
総合評価
ロレックスの懐中時計という点から見ても、その価値の素晴らしさがありますが、その時代背景と出自のわかるアンティークとしては最高の1点。
大宝石商を通しロレックスを贈られるほどの方、そしてその手を経て現代に。
アンティークらしい浪漫と、ロレックスの価値を合わせて感じられる素晴らしい懐中時計です。
状態
特記事項はありません。
希少性
ロレックスの懐中時計というだけでも希少ですが、銀無垢のしかも元箱付きで、さらにその持ち主から時代背景までがわかるものとなると、まず本当にありません。
贈り物
懐中時計だけを見ても、ロレックスの銀時計の素晴らしい状態のもので、贈り物としても非常にお勧めできる1点。
ただ時代背景の部分も楽しんでいただきたいものでもありますので、プレゼントとして贈られるよりもご自身でお使いいただく・コレクションに加えていただくことに、より価値を見出していただけるものだと思います。
備考
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