和風な渋みを感じる懐中時計
皇室のご紋として使われる、日本人にとても馴染みの深い菊。
上品でかつ華やかでそして心に響く、まるで菊花のような紋様を持つアンティークの銀時計。
アンティーク懐中時計では人気のエルジン社のもので、すでに作られてから100年以上が経つ本当の意味でのアンティーク品。
黒とシルバーの色の対比が心地よく、銀特有の渋みとその渋みに深みを持たせる黒色の装飾。
アンティーク時計に用いられた技術としては、ごく短い期間のものながら、その特有の美しさが素晴らしく、時計史に華を添えた技法の1つ。
銀のケースに施されているのは、菊花を想像させる形の連綿と続く花模様。
中央から外側に伸びる、その華やかで長い花弁の美しさが、銀と黒の色の対比で際立ちます。
モチーフになった花が何であるのかは、今となっては知る由はありませんが、ここから感じられる色や雰囲気からは、日本人に馴染みの深い菊花を想像させるものです。
またケースの側面にも、同様の装飾が施されていて、しっかりと全面が彩られているのもアンティークならではの力の入れ方。
光の当たり具合によっては、黒に見えたり灰色に見えたり、このような色変わりを楽しんでいただけるのも、この黒金ケースならではの大きな特徴です。
時計の外観の深みのある渋さに合わせるように、内側の文字盤はシンプルに素朴な作り。
ローマ数字に陶製の文字盤にブルースチールの針と、銀のケースにとても良く似合う色合いになっています。
同様の黒金装飾では、経年や使用によって劣化が出ているものも多いのですが、これは本当に綺麗で状態が良いもの。
ケースに施されている装飾から、強くは磨けないため細かな傷は残ってはいるものの、それをご覧いただいても状態の良さをご想像していただけるものだと思います。
店主のワンポイントと評価
総合評価
まるでその当時の日本向けとして作られたものであるかのように、非常に日本的・和の要素を感じられる懐中時計だと思います。
この時代の時計としては、豪華なものや実用的なものが好まれているわけですが、「趣のある」という言葉が似合う美しさを備えているもの。
人に例えるなら、長い黒髪の美人というような、そんな凛とした美しさがあるものです。
時計のケースの作りとしても、そこに施された技法にしても、そして状態面としても非常に良いもので、時計の良さが感じられます。
一般的な「アンティーク」とは違って、そこに職人の技法が施された、作品といえるレベルにある1点です。
状態
黒と銀の黒金装飾は、使用や経年によって劣化しているものが多いのですが、この時計は本当に状態が良く、黒金装飾としてはこれ以上の状態を求めることができないほど状態の良いもの。
アンティークでは「完全」という状態はないものですが、素材と年代を考えると、それに近い状態だと言えるものです。
希少性
作りやデザイン自体が希少なもので、状態面も含めると同じ程度のものを求めること自体が無理というもの。
同じものとなると本当にない希少なものです。
贈り物
時計の作りやデザインとしても、非常に味があって面白いものです。
贈り物としてもとてもお勧めできる1点ですが、この素材の面白味や状態の良さをお分かりいただける方でないと、贈る価値が損なわれてしまうというもの。
同様の素材を持つものをご覧いただいて、その状態の良さを知っていただいた上で所有していただきたい1点です。
備考
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