立体感あり。風格が伝わる作りの良さ
時代が進むと技術も進み、昔よりは良いものが作られるはずですが、アンティークの世界にあっては、必ずしもそうだとは限りません。
標準化され「作らなくてよい時代」の訪れによって、失われたものがそこにあります。
長い年月の間に失われた手仕事の良さと、手間暇をかけるという贅沢さ。
アンティークでしか出会うことができない、美しい仕事がここにあります。
その昔、重宝された銀時計。
そこには銀時計だけが出しえる風格があり、品の良さがあり、そこに添えられるチェーンにも、同様の格と美が求められていました。
このチェーンは、そんな生み出された時代背景をとてもよく表している1点だと言えるでしょう。
品物や素材を問わずに、立体感を出すということは、何であっても手間と技術が必要とされるもの。
その価値ある「立体感」を感じていただける作りになっているもので、非常に個性のあるチェーンです。
中央の飾りそして先端の飾りには、統一されたデザインの花模様。
飾りの両面を彩りそして重厚な厚みを持たせて、その存在感を際立たせています。
またチェーン全体を通して、玉と輪そして紐という作りが絶妙な統一感を生み出していて、総じての雰囲気がとても良いものです。
作られた年代という調味料、そして銀という素材の良さ、それを引き出す技術者の妙が組み合わさった、とても品のある1点ものです。
このチェーンを合わせていただくなら、銀色の懐中時計で大きめのものがお勧め。
中型サイズでも雰囲気として合いますが、サイズが小さい場合はあまり時計の厚みが薄すぎないことと、チェーンの存在感に時計の存在が消されてしまわないように装飾があるもののほうが良いでしょう。
大型の懐中時計であれば、オープンフェイスのものでもとてもよく似合います。
作られた年代的はホールマークがありませんので確実なことは言えませんが、チェーン自体の作りや飾りの作りから、1900年以前の西欧製だと考えられます。
店主のワンポイントと評価
総合評価
全体的な雰囲気が良いもので、中央の飾りそして先端の飾りと、このシンクロする二つの飾りが大きな魅力です。
ただ単に同じ飾りが連ねられているだけでなく、それぞれに玉の飾りを繋いだり、先端の飾りに相応しく足を流してみたり。
そして紐系のチェーンを組み合わせるところや、それぞれの細やかさを見ていただいても、作りの良さが伝わってきます。
状態
経年や使用による使用感や軽いくぼみ程度はありますが、年代や作りを考えると、気にしていただく程度のものではありません。
先端のT字のバーは鍵巻きになっていて、鍵巻き側の筒を動かすと、鍵巻きの先端が現れる作りになっています。
同系の銀素材のものは同じ作りになりますが、筒自体は強度などの面から銀ではなく、薄い銀の板が表面に回されているような作りになっています。
そのため、写真で拡大をしていますが、板表面の割れが起こりうる状態になっています。
バーの部分はご希望であれば、新しいT字のバーをお付けしてお届けいたします。
希少性
量産されたものではない、1点ものの特別さが写真からも伝わる希少な1点です。
贈り物
使われていたアンティークという状態をご理解いただける方であれば、非常にお勧めできるチェーンです。
備考
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